『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(2016年、アメリカ)――75点、20年ぶりのクソ映画超大作


『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(2016年、アメリカ)――120min
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ニコラス・ライト、ジェームズ・A・ウッズ(英語版)、ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ、ジェームズ・ヴァンダービルト
原案:ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ、ニコラス・ライト、ジェームズ・A・ウッズ
出演者:リアム・ヘムズワース、ジェフ・ゴールドブラム、ジェシー・T・ユーシャー(英語版)、ビル・プルマン、マイカ・モンロー、セーラ・ウォード、ウィリアム・フィクナージャド・ハーシュ、ブレント・スパイナー、ヴィヴィカ・A・フォックス、 シャルロット・ゲンズブール、アンジェラベイビー・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

この日のために、20年待ってました!!

ウィルスミス出世作の、1996年に製作・公開され、世界中で大ヒットしたSFパニック超大作「インデペンデンス・デイ」の20年ぶりの続編。制作費1.60億ドルの今年最高傑作&大作のSFスペクタクル映画がやってきた。

監督は、前作と同じく巨匠ローランド・エメリッヒ。

戦闘機パイロットの主人公ジェイク役を「ハンガー・ゲーム」シリーズのリアム・ヘムズワースが演じ、ビル・プルマン、ジェフ・ゴールドブラムら前作から続投。

このたび、クソ映画人友達と一緒に、劇場に見に行きました。

○あらすじ
エイリアンの侵略を生き延びた人類は、共通の敵を前にひとつにまとまり、回収したエイリアンの技術を利用して防衛システムを構築。エイリアンの再来に備えていた。しかし、再び地球を目標に襲来したエイリアンの兵力は想像を絶するものへと進化しており、人類は為す術もなく、再度の絶滅の危機を迎える。
<映画COMより引用>

相変わらずクソ映画ノリが連続して、大いに笑いました。ベタベタな敵対関係の仲間と、奇跡的に一緒に生き延びて、偶然的すぎるストーリー展開で人類の未来が開かれてゆく過程は突っ込みどころ満載で楽しかったです。

キャストも豪華。 シャルロット・ゲンズブールが登場しててびっくり。こんなハリウッド商業大作に出演するんだなと。

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QQでの通話、中国の牛乳、最高責任者、そしてヒロイン、アンジェラベイビーと、中国資本の飛躍にも本当にびっくりした。中国が大手スポンサー? いまやヒロインは中国系っていう時代なんだなと。超美人なので文句なしですが。

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しかし、前作より巨大な敵の出現により、世界がめちゃくちゃになるシーンの迫力には驚かされました。これぞ、映画館でみる映画です。そして中国人観光客の表情もシリアスで笑えました。

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ネタバレになりますが、96年のインディペンデンスデイは本当に大傑作クソ映画で、テレビ放映で見て、盛大に笑わせていただいた一作。特にラストに大統領が演説と共に自ら出動するシーンは爆笑しました。

今回も、同じく爆笑必須なシーンが満載で、ローランドエメリヒッヒ監督のクソ映画は本当に外すところが無くて安定感ある。

とにかく、前大統領もばっちり登場し、中国資本の進出なども映画に描かれており、非常に現代を象徴する描写も多く、大変楽しく鑑賞できました。

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大統領が「女」という設定があり、そのオチも、ある種、未来を予言しているような内容もある、政治色も匂わせる、非常に興味深い一作。

クソ映画としては堂々の95点作品です。

次回作も控えているそうなので、クソ映画ですが、また劇場に足を運ぼうと思います。

kojiroh

『シンゴジラ』(2016年、日本)――80点。12年ぶり、新感覚・ゴジラ映画


『シンゴジラ』(2016年、日本)――114min
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎、伊福部昭
出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子、高橋一生・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

『シン・ゴジラ』・・・2016年7月29日公開の日本映画で、ゴジラシリーズの第29作、『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズ。

さて、豊作映画が多い筆者はよく劇場へ行くが、予告編を見て是非見たいと思った映画の1つでもある、シンゴジラが評判がいいので、ポケモンGO→シンゴジラ、というブームの流れを感じ、さっそく劇場で鑑賞した。

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◎あらすじ
2016年日本映画。ある日突然東京湾で水蒸気爆発が起きた。すぐに総理の耳にも入り慌ただしく動く日本政府。その原因は海の中に潜む巨大な生物ゴジラだった。目的も正体も分からないその生物ゴジラに翻弄される日本。そんな中内閣官房副長官を務める矢口はその存在に対抗する術を見つける。しかし遠くの国の人間は核を使い街もろとも破壊しようと考えていた
<映画ウォッチより>

まず、こんな怪獣映画、観たことがない、という衝撃があった。

ゴジラシリーズなのに、妙にグロテスクで、巨大生物を会議~メディア報道で真実を解明してゆき、その解決策をさぐるという流れなのだが、国際社会を舞台にして、妙にリアルでありつつ、シュールに物事が完了の会議と共に進んでゆく。2016-08-05_140917

これはゴジラという大スペクタクルを舞台にしつつ、会議映画であり、人間ドラマにもなっている。

今風なオタクで早口なキャラも登場し、頭の回転が速い系のストーリー進行になり、とにかくスピーディーで盛り沢山だった。

登場人物もすごく豪華で、日本映画の名わき役といえるような俳優がここぞとばかり出演している。

柄本明、大杉漣、國村隼、ピエール瀧、さらにどこで出てたか分からないところで、KREVAとかいるし、シンゴジラはすごい映画プロジェクトだったんだなと関心。

 

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ハードワークに危機に対して仕事を進める中でこんなせりふを言う。

「日本はまだまだやれる。捨てたもんじゃない」

この映画を見て、わたしは邦画を馬鹿にしている人間であるが、同じような感想を抱いた。日本でこんな面白い実写映画が作れるのだなと。

ただキーマンは、アニメ出身の記載の庵野監督のセンスが全てだろうと思う。

キレのフォントを駆使しつつスピーディーに物語が進み、グロテスクな怪物が進化してゆく中での人間ドラマは、エヴァ的だなあと本当に関心しました。2016-08-05_141311

ものすごい制作費をかけていそうだが、なんと15億円で作った模様。

実写映画の邦画は基本的にGOMIばかりだと思っているが、アニメや漫画畑出身の鬼才が実写を作るとなかなか傑作が生まれるものだなと。

今後も庵野監督の実写映画に期待したいと思います。

原発事故の当時のニュースを思い出させらるようなシーンも。2016-08-05_1412132016-08-05_141111

それにしても、目が丸出しのグロテスクなゴジラが大田区を進行して瓦礫まみれになる光景なんかは、311など大地震を彷彿させるデキバエで、劇場で見てよかったなと思える一作でした。

 

追記、尚、モノのクローズショットなど、商業映画とは思えない芸術的な表現も散りばめられていて、EVAを作った監督だからこそ、実写でもその芸術性を活かしている点が素晴らしいと思いました。

kojiroh

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2016年、アメリカ)――75点。新しい形の戦争ドキュメンタリー


監督:マイケル・ムーア
製作:マイケル・ムーア、ティア・レッシン、カール・ディール
製作総指揮マーク・シャピロ
出演:マイケル・ムーア・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

今年はドキュメンタリー映画が秀逸。今年公開のドキュメンタリーで注目の一作、「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」のマイケル・ムーアによる「世界侵略」をテーマにしたドキュメンタリー作品。

軍事戦争ではなく、アイディアを奪いに行く形の”戦争”とは・・・。

◎あらすじ
度重なる侵略戦争が良い結果にならなかったというアメリカ国防総省幹部からの切実な悩みを持ちかけられたムーア。そこでムーアは、自身が国防省に代わり、「侵略者」となって、世界各国から「あるモノ」を略奪するために出撃することを提案。ムーアは空母ロナルド・レーガンに搭乗し、ヨーロッパを目指すが……。
<映画.comより>

うーん、ずばり、本作は優れたグローバル社会のドキュメンタリーであり、多様な国の社会実験的なかたちで成り立ったライフスタイルを記録している。

映画というより、情報番組的な面白さだ。

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相変わらず巨体、なんでこんな太ってんだといつも突っ込みたくなる。だが貫禄が出ているなあと。

さてアメリカ高額医療を批判した『シッコ』にも通じるが、あれと違うのは、本作はほぼ単独でムーアが世界へ出ていること。

被害者とストーリーを進めていったシッコとは、また少し意味が違う。

が、本作が提供する情報は実にユニークで、世界は広いのだなと、広い視野を持てる、自国の閉鎖性や問題点に悩んでいる人が見たら、非常にすっきりし、それこそ多くの発見がある映画であろう。
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それにしてもオーガニックで昼にフランス料理とか長期休暇豊富なイタリアとか、土日勤務厳禁なドイツとか、自然主義的な生き方ができているんだと、多様化とグローバリゼーションで潤って成長してきたアメリカが筆頭とした多国籍企業に批判的な構図にも思える。

コカコーラを休職のときに飲んでいるムーアの姿がなんだかブラックジョークに感じた。

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イタリアで昼になると一斉に帰宅し、家族と食事をする光景なんかも、同じ先進国でも仕事と人生の関わり方がこんなに違うのかと興味深い一本だった。言語上では知っている内容でも、映像化してみてみるとまた違う発見がある。

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しかし、非常識でガラパゴスだといわれるアメリカであるが、未だに世界の中心を担う存在であり、それは欧州とは違った形での長時間労働を従事している人が多いからなのかもしれないとも。

そしてムーア監督のように、自国のダメなところを拾い上げて改善する意識を持って世界に映画として発信できるメディアの役割を担える人物がいる時点、やはりアメリカは日本のような閉鎖的な国よりも全然常識的で素晴らしい国だなと比較してしまった。

ともかく、世界を股に駆けてアイディアを奪いに行く行動を、戦争や侵略とたとえてコミカルに独自の視点で映画を進める、そのアイディアこそ本作のベース。

だが結局、そのアイディアの根源は、もうすでにある、「幸せの青い鳥」のようなものだった。旅人が最後にいたる結論のような内容。

多くの情報、様々な社会実験で多様な社会が構成されているが、根底にあるものは、既に過去にあったものだった、的な。

正直、テレビドキュメンタリーでいいじゃん、と思える内容ではあるが、これを劇場映画にできる業こそ、ムーアなのだなと思わされた。

ともかく、多様化、グローバリゼーション、そうしたものを振り返って原点回帰して、新しい時代の材料(アイディア)を探そうと言う、この2016年、EU離脱や大統領選などで、時代の転換期にありそうな時期に、必要とされる映画だなと感じた。

kojiroh

『FAKE』(2016年、日本)――90点。鬼才・森達也×佐村河内、羅生門的なドキュメンタリー

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監督:森達也
プロデューサー:橋本佳子
撮影:森達也、山崎裕
編集:鈴尾啓太
出演:佐村河内守・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点

※リアルタイム映画評

2014年にゴーストライター騒動で日本中の注目を集めた佐村河内守。
彼を1年4ヶ月に渡って追った、ドキュメンタリー映画。
監督は、オウム真理教を題材にした「A」「A2」の鬼才、森達也。

詐欺師、ペテン師と糾弾されて表舞台から消えた男のドキュメンタリーがまさか撮られていたとは・・・一体どんな展開でドキュメンタリーとしてオチるのか、最後の12分がどうのこうのと、ネット上でも話題になっていたので、わたしはインディーズな横浜のミニシアターに足を運んで鑑賞した。

○あらすじ
聴覚に障害を抱えながら「交響曲第1番 HIROSHIMA」などの作品を手がけたとし、「現代のベートーベン」と称された佐村河内。しかし音楽家の新垣隆が18年間にわたってゴーストライターを務めていたことや、佐村河内の耳が聞こえていることを暴露。佐村河内は作品が自身だけの作曲でないことを認め騒動について謝罪したが、新垣に対しては名誉毀損で訴える可能性があると話し、その後は沈黙を守り続けてきた。本作では佐村河内の自宅で撮影を行ない、その素顔に迫るとともに、取材を申し込みに来るメディア関係者や外国人ジャーナリストらの姿も映し出す。
<映画.com>

さて、手話を駆使した佐村河内夫妻の会話が、まず強烈に頭に焼きつく。

わたしはこの事件を深く知らずに、実は耳が聞こえた男がゴーストを使って音楽ビジネスをしていた、ぐらいのレベルの理解だった。しかし、現実はもっと複雑で、黒か白か、というよりもグレーな話であったが、マスメディアが分かりやすい話に置き換えて、ジャーナリストが売名行為や復讐のために相手を徹底的に糾弾して、そういう極めて感情的で、自分都合な報道をしているように、本作から伝わってくる。

基本的に密室劇であり、森達也と夫妻と猫がメインキャラクターだ。2016-06-26_163556

猫は人間に見えない、その深い目が何か真実を見ている気さえしてくる。本作はこの猫が非常に重要な役割を成している。

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マスコミの誘導や時の流れによって成功者になった新垣。
ジャーナリストの大賞を受賞した神山。2016-06-26_163342

結果として売名に成功して、守さんを踏み台にして成功したとも言える人々がいる。

大人数で押しかけてお笑い番組に出演させようと押しかけるフジテレビのシーンと、困惑する猫の視点が、本作が最も否定したい部分を象徴している気がした。海外の本質的なジャーナリストの取材に比べると、日本の番組は大衆の娯楽と笑い作りしか考えていない、そんな低俗さを考えさせられた。

色んな真実を映し出しているが、あまりにも色んな見方ができる映画であるが、この夫妻、2人が素晴らしいのだ、結局は。

・豆乳をがぶのみする守
・ケーキを差し出す奥さん
・警察と消火器のフラグ2016-06-26_163539

それにしても、この映画は製作者の吐息が伝わってきて、それが自分の心にはものすごく痛烈に刺さる。どんでん返しがあるかもしれない、出演者と製作者の疑いさえも映像にゆれる。

どちらの言い分が真なのか――羅生門のような展開もある。現実の事件が無数の視点から証言が得られる。

無数の解釈ができる映画なので、ディティールを書くことは省略するが、・・・結論として、ペテン師である守さんという真実は変わらないが、佐村河内守という人間が非常に魅力的な人物であることは間違いなく、彼のカメラ写りが非常にいいから、自分の映画のために撮影を開始したインタビューに答えていた森監督の気持ちがよくわかる。

俳優としても、ベランダでタツヤさんと一緒に夕焼けと共にタバコを吸うシーンなんかは実に芸術的でもある。薄暗い部屋でのやりとりも。

思いのほか、本作が話題になって、ロングランになりそうな勢いができてきたので、この作品を契機に、さらなる物語の展開を成した、『FAKE2』を、待望したいと思います。

これで終わりではないだろ?? 頭の中でたくさん音楽が鳴っていて、この映画から新しいスタートが切れる、そんなエネルギーを感じた。2016-06-26_163437

「僕を信じますか?」
「僕は守サンと心中します」

全てがFAKEかもしれない。複雑怪奇で白黒ハッキリせず、グレーなこの世の中で、信じるものがあり、愛があるということが素晴らしいのかもしれない。

以上、歴史的な詐称事件のその裏側を見事に潜入して懐に入れ、アナザーストーリーをフィルムに収めることができた、数年に一本の傑作ドキュメンタリーだと思います。

kojiroh

『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014年、アメリカ=ドイツ)――90点。スノーデンドキュメンタリー、管理社会への警告と


『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014年、アメリカ)――114min
監督:ローラ・ポイトラス
製作:ダーク・ウィルツキー、ローラ・ポイトラス、マティルド・ボヌフォア
出演:エドワード・スノーデン,グレン・グリーンウォルド、ローラ・ポイトラス、ジュリアンアサンジ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点

※リアルタイム映画評

【原題】Citizenfour

アメリカ政府のスパイ行為を告発したエドワード・スノーデンをリアルタイムで迫ったドキュメンタリー。
第87回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞受賞。

劇場公開されていると知り、2013年の事件の真相を、3年を経て、目にすることができ、衝撃的だった。

○あらすじ
2013年、ドキュメンタリー映画作家であるローラ・ポイトラスに接触をしてきた者がいた。重大な機密情報を持っていると、香港でのインタビューの現場に現れたのが、元CIA職員のエドワード・スノーデンだった。スノーデンの口から語られたのはアメリカ政府によるスパイ行為の数々。世界各国の要人、さらに一般国民の電話やインターネット等をも傍受しているという驚くべき真実だった。

<映画.comより引用>

現代の情報化社会、PCやスマホを経由して人々の動きが監視されて、データが蓄積されている。わかってはいたが、ここまで具体的にプライバシーの危機が迫っているのかと、観ていて鳥肌が立つ恐怖を覚えた。2016-06-17_145722

グーグル、フェイスブック・・・名立たる企業のデータはもう政府の手の中にあり、要注意人物を過去のデータの中からすぐに探せるような時代に・・・そんな管理されたインターネットを正しい方向へ導くべく、立ち上がった29歳のエドワード・スノーデン。2016-06-17_145451

この事件の裏側で、このような動きがあったのだと、歴史が動く瞬間は全て残されていたとは。もう、製作者が無我夢中で現在進行形の革命をフィルムに納めた、という、奇跡の時間が収められている。

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香港のミラホテルでの最初の登場シーンから、釘付けになった。

端正な顔立ちで、身のこなしや話し方まで、素晴らしく洗練されていて凛々しい。29歳のこんなしっかりした若者がたった一人で決断するとは――。

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IP電話の盗聴やSDカードへの注意喚起、世界の自由のために革命を起こそうとする若者の姿が、とにかく覚悟を決めた男の姿をフィルムに残したこと自体が奇跡的な出来事だと思う。

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暗号化されたやり取り、何気ないチャットの一文一文が迫力満載だった。

何しろこれは真実であり、地下に潜った後の出来事さえも移せていることが、衝撃的だった。

優れたドキュメンタリー映画の条件として、意図しない出来事が起こり、ストーリーを揺れ動かしたり、そんな奇跡が必ずある。

ミラホテルの中でのインタビューは単なる密室での動きのない、普通なら単調になりがちなシーンだが、ファイヤーアラームの稼動が突然起きるシーンには、思わず舌を巻いてしまった。

意図的ではない、そんな偶然的な奇跡が無数起きた、歴史が動いた時間を、観客としても共有できた興奮を味わえ、映画としてもストーリーに動きがあり、単なるドキュメンタリーを超えている。

これは本当にIT管理社会の中で生きる我々が、国民全員が見るべき映画かもしれない。

 

ラストシーン、情報監視社会の中で極秘の会話(○談)をしつつ、ラストのナインインチネイルズのゴーストのエレクトリック音楽が鳴り響くエンドロールが衝撃的だった。

歴史が動く奇跡的瞬間を記録した、ドキュメンタリーの最高傑作だと思っている、『ゆきゆきて神軍』、『アンヴィル』に匹敵しうる10年に一本レベルのドキュメンタリーだと思った。

それにしても、2014年10月のこの映画が日本で公開されるのが遅すぎる。

アカデミー賞を受賞している作品なのに、政府や大きな権力を持つものにとって不都合な映画を迅速に公開しないことに何か理由を感じてしまう、・・・情報化された管理社会への警告として意味のある一本です。

kojiroh

『アイアムアヒーロー』(2015年、日本)――75点、ゾキュン映画初体験


監督:佐藤信介
脚本:野木亜紀子
原作:花沢健吾 『アイアムアヒーロー』
出演:大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、片桐仁、マキタスポーツ、塚地武雅、風間トオル、徳井優・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

花沢健吾の大ヒット・ゾンビ漫画の映画化。

国際映画祭でも観客賞を受賞、大泉洋、有村架純、長澤まさみの豪華キャストによるゾンビパニック・アクション大作。監督は「GANTZ」「図書館戦争」シリーズの佐藤信介。

クソ映画人の推奨を受けて劇場へ足を運び鑑賞。

なかなか笑えて手に汗握れる秀逸なゾンビ映画で驚いた。

◎あらすじ
漫画家アシスタントとして最低な日々を送る35歳の鈴木英雄。ある日、徹夜仕事から帰宅した英雄は、異形の姿に変貌した恋人に襲われかける。辛くも逃げ出した英雄は、同じように異形の者が人々を次々と襲い、襲われた人間もまた異形の者へと変貌していくさまを目の当たりにする。やがてそれは“ZQN(ゾキュン)”と呼ばれ、謎の感染パニックが日本中で起きていることが分かってくる。標高が高いところは感染しないという情報を頼りに富士山を目指した英雄は、その道中で女子高生の比呂美と出会い、ひょんな成り行きから一緒に行動を共にするのだったが…。
<allcinema>

平穏な冴えないオタク漫画家の日常が、一変してサバイバルアクションへ。

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日本のゾンビ映画でこんなに本格的なものが出てきたのかと、邦画のゾンビ映画史の歴史を作ったかもしれないと思った。(筆者は邦画ゾンビ映画初体験。)

それにしても本映画はゾンビ映画好きのつぼを全部押さえたようなデキ。

噛むと感染してゆき、すぐにゾンビ化して暴走する走るゾンビもいる雰囲気は、「28日後・・・」に近い。

そうだ、本作は28日後系列のゾンビだ。
猛烈な怒りウイルスのごとく変貌して飛び掛ってくる、走ることもできる、肉体によってはジャンプすることもできる、なかなか強いゾンビである。ゾキュンか。

ストーリーの流れとしても、28日後的かもしれない。
やはり、島国の国でゾンビ映画を作るとこういう風になるかと。

ただショッピングモールの変わりにアウトレットモールが登場する場面は、『ゾンビ』を思い出して興奮した。韓国ロケによる、日本映画としては異色なゾンビスペクタクルではないか。

80%以上は原作の力だとは思うが、高校生美女と出会った冴えない引きこもりの男が、ショットガンをぶっぱなすB級エンタメ映画としての完成度は驚くほど高い。

脇役も揃っていて、名俳優たちがこぞってゾンビ映画に出演したいと思って自発的に協力したのではないかと思えるデキ。豪華である。

塚地なんかが、あんな脇役ででるんだなと。
徳井優、あと岡田義徳も。脇役の冴え方もいい。

とにかく、ニートが飛躍できる時代が来たと興奮し、2chの掲示板を頼りに動いていく様はかなり完成度の高く現代風な和製ゾンビ映画になったと。

大泉洋も、こんな汚い映画の主演をはって、はまり役になっているとは、ゾンビ映画の並が本作から再ブームになるといいなと思った次第。2016-06-02_183301

本当に主人公のダメダメさがうっとおしくもなる映画であったが、ペキンパーのわらの犬のように暴力に目覚める優しい男の狂気があるような気がして、ショットガンを構える大泉洋は、近年のアクション邦画でのベストショットかもしれない。2016-06-02_183531

ただし、やはりもっと続きがほしい、オチがもう一つ欲しいなと思った次第でした。

ただこの脚力満載のゾンビなどの描き方なんかは、今までにない感じだなあと関心しました。ロレックスの時計で笑えるシーンもあれば、タクシーのカーアクションのようなパニック要素もあり、女子高生もいて、シリアスアクションもあり、盛り沢山で、ゾンビ映画好きには一見の勝ちあり。

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本家アメリカのゾンビ映画にはその意味では叶いませんけど、邦画ゾンビ映画では最高峰ではないかな。

続編を待望したい珍しい一本・・・次は劇場までは行かない気がしますが。

kojiroh

『マネーショート 華麗なる大逆転』(2015年、アメリカ)――85点。世紀の空売りマネー映画


『マネーショート』(2015年、アメリカ)――130min
監督:アダム・マッケイ
脚本:アダム・マッケイ、チャールズ・ランドルフ
原作:マイケル・ルイス『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』(文藝春秋)
出演:クリスチャン・ベール、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

※リアルタイム映画評

The Big short

クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピット、豪華キャストが共演した「マネーボール」の原作者マイケル・ルイスのノンフィクション「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」が映画化。

アダム・マッケイが監督、第88回アカデミー賞で作品賞、監督賞など主要部門を含む合計5部門にノミネート、脚色賞を受賞した。

Gomi投資家である筆者はこの手の金融映画が大好きなので、公開されるやいなや劇場へ足を運んだ。

◎あらすじ
05年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケルは、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。そこで「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。そして08年、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。
<映画Com>

マージンコールとは真逆で、金融危機で儲けた人々を描く。

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スピード感がすごい。ドキュメンタリータッチ。むしろちょっとスピード感ありすぎるかなというほど。専門用語で難しく語って詐欺のような投資をばらまくサブプライムの闇をうまく説明してくれます。

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クレイジーな人々が、みんなが楽観する相場で、本質的な分析に基づき、行動にでるシーン、そして市場が不合理にうごきつつも信念を変えずに奮闘する・・・ジョージソロスの名言が次々に思い起こされる局面が映画になったとでも形容しようか。
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個人的に本作の主役は、マーク(スティーブ・カレル)でしょう。
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全編的に神経質だが信仰的で、彼とその仲間がサブプライムの暗部をさぐっていく、そのくだりは秀逸なミステリーのような面白さがありました。

ブラットピットも存在感ありすぎてさすが。よくぞ出演してくれたなと。
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イギリスのパブでトレードするシーンなんかは貫禄ありました。

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若い2人のはしゃぎっぷり征するシーンなんかは投資の本質を突いてて印象的でした。

さて、内容の秀逸な部分ももちろんですが、全編的に音楽のセンスがよすぎる。古典的なロックからメタルまで洋楽好きにはたまりません。

エンディングに流れる、Led zeperrinのWhen the Levee Breaksなんかは劇場の迫力ある音響で、エンドロールに見れて本当に感動しました。大好きな曲なんですよね、個人的に。

それを劇場で見たので、ある種のわたしの歴史になってしまったこともあり、今回は85点です。きっとレンタルで見たら75~80点だったかなあ。

とにかく金融や投資に興味ある人は必見です。

投資家というのはこうあるべきだという姿が分かる人には分かる映画です。

それにしても、市場の逆を付くトレードっていうのは、ロックンロールなんだなあ。

kojiroh