ハートロッカー(2008年、米) -8.5点。総立ちするほど狂気なジェームズ軍曹 

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ハートロッカー(2008年)
監督 キャサリン・ヒグロー
主演 ジェレミー・レナー
脚本 マーク・ポール

【点数】
★★★★★★★★☆ / 8.5点

「いくつ爆弾を処理した? -873個です」。
ジェレミー・レナー演ずる軍曹・ジェームズは答えた。まるで自らの爆弾処理が芸術であるかのように。ハードロックを室内バリバリに響かせ、ベッドの下には、彼の戦利品、「爆弾の仕組み部品」が隠されている。携帯電話ひとつで死と肉薄する狂気の世界へようこそ。
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そう、2010年の3月、僕は新宿の東口にある映画館で、立ち見をした。鬼才・キャスリン・ビグロー監督が放つアカデミー賞作品賞を始め、6部門受賞した傑作『ハート・ロッカー』(2008年)を。

イラクはバグダットを舞台に、ギラギラした熱気が包む炎天化の下、仕組まれた罠。無数に潜む爆弾。それを処理するために戦う男たち。爆弾処理魔のジェームズとサイボーン(アンソニー・マッキー)、この二人は最初、狂気とも呼べるジェームズの爆弾処理作業に危機を感じ、憤慨しながらも、共に修羅場を体験することになる。そんな狂気の中でも徐々にお互いの絆が生まれる姿をフィルムに焼き付け、最高のイラク戦争映画とも呼ばれる作品にまで仕上げた傑作だ。

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仕掛けられた爆弾を解体すべく、ガンダムのような鎧(プロテクトスーツ)をまとい、彼らは死と隣り合わせの世界に向かう。その姿に「イラク戦争行った人間がなぜ狂ってゆくのか?」、その真意が感じられる。
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ジェームスとサイボーンの爆弾処理班名コンビもさることながら、ケガで退陣するエルドリッジ、現地の医者、家族持ちの自爆テロ、サッカー少年のベッカム、様々な人物が登場しては、幻想の如く、死ぬか、もしくは狂ってゆく。爆弾処理シーンの激しくぶれる生々しいカメラワークはドキュメンタリータッチのようで、まるで実際に現場にトリップした気分になる。

特に爆弾処理シーンの鬼気迫る圧迫感は尋常じゃない。鑑賞しているだけで、ここまで映像に食いついてしまった作品は久しぶりだった。しかも、僕は立ち見だ。まさしく、彼らの爆弾処理を、自分も総立ちで見た。爆弾解体に命を賭けるジェームズの狂気には脱帽するしかない。人間が本来内在させる暴力衝動、死と肉薄したスリルを求める性癖などが爆弾処理を通じて描かれる。

いや、爆弾処理が芸術に見えたのは始めてだ。未だにあの映像感覚が脳裏に焼き付いて忘れられない。

狂気、興奮、エクスタシー。最終的には、イラク戦争での軍人を英雄のように描いている本作がアカデミー作品賞を取ったという点でも、ジェームズ軍曹と同様、アメリカが築き上げてきた狂気の本質が本作品にはあるのだろう。

Written by Kojiroh

※転記元:総立ちするほど狂気なジェームズ軍曹|世界の始まりとハードボイルド (上記のエントリーを加筆修正して再投稿しました。)

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