グラントリノ(2008年、米) ―10.0点。最後の用心棒、ここに眠る

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グラントリノ(2009年)
監督・主演 クリント・イーストウッド

【点数】
★★★★★★★★★★ / 10.0点

イーストウッドはいつから泣かせる映画監督になったんだ。

こんな大したスペクタクルやトリッキーでもない王道のようなストーリーの映画で涙腺を緩めてしまうなんて、不覚。でもしょうがない。だって私は最初の出世作『夕陽のガンマン』(64年)から彼を知ってるから。

 さて、現78歳のイーストウッドは、一体いくつの歴史的傑作を生みだしてきたことか。レオーネ監督のマカロニウェスタンでのガンマンから成功から始まり、『ダーティハリー』(71年)で俳優として大当たり。『恐怖のメロディ』(71年)で監督デビューし、『許されざる者』(92年)でオスカー、『ミリオンダラー・ベイビー』(04年)で2度目のオスカー、それで終わらずさらに『硫黄島二部作』(06年)まで手がけてきた。もう映画作る必要ないじゃん、と言いたくなるぐらい傑作だらけだ。

 そんなイーストウッド大先生は新作『グラン・トリノ』でついに俳優業引退を宣言した。独り身の頑固ジジイが隣人の東洋人と交流し再生してゆく典型フォーマットを辿った映画で、自身の監督作『パーフェクト ワールド』(93年)的な展開かと感じる。

けれども、1エピソード1分以内で見せるお得意のスピーディーかつ丁寧なカットは見るものを飽きさない。エンタメ精神は相変わらず健在だ。さらに失われた家族像、人種差別、老いと孤独、人種や年齢を超えた友情、戦争、生と死、懺悔、さらにはユーモラスな人間関係まで、彼が今までスクリーンで魅せてきたすべてのテーマを盛り込んでいるようで、いや、もうおなか一杯。少しずつ少しずつ描かれる隣人のモン族との人種を超えた交流は、ヒロイズムを交え、初老の用心棒としての彼の姿を写し出しているように見える。

 顔はしわだらけ、声はしゃがれ、すっかり老け込み、銃を持つ手は震えている。しかし、タバコをくわえ最後の決戦に挑む彼の眼光は昔と何も変わらない。もはや、最後の決闘に鉄の防具は必要ないのだな。

荒野の用心棒・イーストウッド、ここに眠る。

Written by Kojiroh

※引用:最後の用心棒|世界の始まりとハードボイルド

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