シャイン・ア・ライト(2008年、米) ―6.0点。ストーンズ、をプロデュース。

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シャインアライト(2008年)
監督 マーティン・スコセッシ
主演 ローリング・ストーンズ

【点数】
★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

緊張と不安、気持ちは昂ぶる。細かい揉め事が頻発するライブ前のピリピリとした空気の中、彼らは控え室でビリヤードを突く。

「これがセットリストだ!」

舞台裏でメモがスタッフの手に渡される。
激しくライトアップされるステージと熱狂する観衆。
直後、キース・リチャーズ(Gt)がお馴染みオープンGチューニングによるリフを掻き鳴らす。「ジャ・ジャー、ジャジャジャー、ジャジャジャー、ジャジャジャ」、

But it’s alright now
In fact it’s a gas
but it’s alright
I’m Jumping Jack Flash.It’s a gas , gas , gas

キレのあるカッティングと軽快でふざけた歌詞が印象的なロックナンバー、車のCMでも有名な「Jumpin’Jack Flash」が響き渡り、このライブは幕を開ける。

『シャイン・ア・ライト』はローリング・ストーンズのライブを追った作品であり、マーティン・スコセッシ監督による『ラスト・ワルツ』(79年)以来の音楽ドキュメンタリーだ。

「Jumpin’Jack Flash」から始まり、「As Tears Go By」までノリのよいロックナンバーからカントリー系のしんみりした曲まで、数多くのゲストミュージシャンと共演しつつ幅広く聞かせる。そして最後はローリングストーンズ誌の偉大な曲2位のSatisfaction」。ファンにはたまらないチューンだ。よぼよぼになっても彼らの勢いは衰えない。

しかしまあ、なんとも批評しにくい、ライブ映画と通常の映画は異なるジャンルなので、いい映画か悪い映画か、判断するには少し難しい映画ではある。単にライブとドキュメンタリーを一緒にリミックスしただけの作品とも言えなくもない。

しかし、この映画のストーンズはやはり素晴らしいし、その他注目すべき点はある。監督のスコセッシ自身だ。

自身の監督作『タクシードライバー』(76年)でも妻を殺そうとする男役で出演し、黒澤明の『夢』(90年)にもゴッホ役を演じる出たがり映画監督が、今回はライブをプロデュースしている。かつてウッドストックにて、撮影監督をも担当したベテランのスコセッシ監督としては当然なのか、過剰なる自作自演のプロデュースシーンをしっかりフィルムに収めている。

 裏方の慌しい雰囲気、張り詰めた空気でテンパるスタッフ、その中でカッコよく仕切り、指示を出す監督。まさに伝説のライブをスコセッシのナルシズムと共に描いた怪作だ。そう、ストーンズの音楽よりもスコセッシの仕事ぶりが堪能できたことの方が強く印象に残り、そこに愛を持つことができる。

Written by Kojiroh

※引用:ストーンズ、をプロデュース。|世界の始まりとハードボイルド

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