『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009年、香港)―8.5点。新・香港ハードボイルド


『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009年、香港)
監督: ジョニー・トー
出演: ジョニー・アリディ, アンソニー・ウォン, ラム・カートン, ラム・シュ, サイモン・ヤム

【点数】
★★★★★★★★☆ / 8.5点

2009年の第62回カンヌ映画祭コンペティション部門で上映された香画の巨匠、ジョニー・トー監督の最新作。フランスのプロデューサー・俳優と共に製作した香港映画だ。”香港ノワール”として『エグザイル絆』などでも世界的にも高い評価を得ているトー監督新作、この作品もお得意のタッチで描く犯罪アクションだ。

ストーリーの内容はというと、異国の地で暮らす最愛の娘が襲われ、その家族を何者かに殺された男が3人の殺し屋とともに復讐に挑む。という典型的な復讐劇だ。クエンティン・タランティーノの『キル・ビル』だったり、『イングロリアスバスターズ』とも似た雰囲気を感じる王道復讐劇とも言える。そんなに複雑でよく出来た話ではない。

筆者はこの映画がジョニートー監督、さらには香港映画を真剣に見るのが始めてだった。しかし、オープニングからスピーディーな展開、ベタなんだけれども見せてくるね、引き込まれる。

話は王道であるが、香港・マカオ、東洋の独自の雰囲気が超ハードボイルドでしびれる。ズームアップとかスローモーションを多用していて、作品全体に漂う緊張感がすごい。香港・マカオの美しい夜景と共に激しいアクション、そして男たちの美学や絆を見せてくる。


”I have a job for you”
から始まる地下道でのシーンのハードボイルさには冒頭からいきなりしびれる。

演技陣も素晴らしい。ジョニー・トー監督おなじみの香港の俳優陣、『インファナル・アフェア』シリーズのアンソニー・ウォン、ラム・カートン、ラム・シュ。英語も堪能で顔立ちやキャラも濃くて、味わい深い。そんな彼らとフランス人コックの殺し屋演じる、ジョニー・アンディ。彼の表情も本当に渋い。ハットにグラサンをかけたモードなスタイル。歩くシーン見るだけでも痺れるね。

そんな西洋と東洋の意外なコラボがまた一興。一緒に食事をするシーンなども、会話のウィットさや食べ方、徐々に心を打ち解けて行く姿にはヒューマンドラマを見ているようなよさがある。

フランス人コック×香港殺し屋という4人組、ありそうでなかった名チームだ。

「一度乗った船だ」と言って、最後まで覚悟を決めて奮闘する、金よりも仁義や絆に生きる香港の殺し屋集団3人組がカッコよすぎる。

『グラントリノ』もそうだけど、異国の異文化の人々が心を交わして、一緒に戦うっていう王道ストーリーがなんだか胸を打つものがある。バイオレンスで人がめちゃ死にまくるけれど、アクション映画意外な部分でも秀逸な映画だ。

香港ノワールの魅力は遂に世界へ広がり進化している。

(Written by kojiroh)

引用:『冷たい雨に撃て 約束の銃弾を』鑑賞日記

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