『ブンミおじさんの森』(2010年、タイ) ―6.5点。目に見えない次元の世界につながる不思議な映画


『ブンミおじさんの森』(2010年、タイ)
監督:アピチャートポン・ウィーラセータクン
脚本:アピチャートポン・ウィーラセータクン
出演:タナパット・サイサイマー

【点数】
★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

難解な映画というのは、きっと僕ら一般人が目に見えない世界を描いている。だから、その手の超絶的な人間離れした視点で映し出された世界は、霊的でもあり、摩訶不思議、理解不能な映像作品にもなりうる。このブンミおじさんの映画も、まさしくその種の映画だった。


さて、タイ映画史上、初のカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)に輝いた本作は、極めて難しい映画であった。噂には聞いていたがここまでだとは…。これは映画なのか、不思議で難解な映像作品のようなものだった。正直言って映画慣れしていない人には苦痛でしかない作品であろう。この2時間を絶えるのは辛いと思う。映画マニアの筆者でさえも、作品の意味を何とか理解しようと画面にかじりついていたほど。

しかし結局、私はこの作品の80%も理解できなかった気がしている。というのも、タイ仏教思想のアニミズムの世界なのだ。なので作品全体を通じて、霊的なオーラを放っている。

あらすじを言うと単純で、病で死が間近に迫ったブンミおじさんの下に、かつて失踪した息子と死んだ妻が突然現れ、霊的な体験をし、森へ帰り霊的な世界へ帰化していくという物語だ。

自然との共存、前世、瞑想、仏教、森の精霊、幽霊、カルマ、この世への執着か、輪廻転生、それはそれは深いアニミズム、つまり万物に精霊が宿っているという考えの、観念的な世界だった。


ワンシーンワンシーンがほとんどカットされず、10分以上もの長回しで巧みな構図で非常にゆっくりとした不思議なテンポで会話をするシーンなど、劇のような、広大な自然をバックにした映像作品のような、何かが宿っていると思わせる映像美が広がっている。

タイの森や山、動物には、もののけというのか、自然の魂が宿っていて、生命の神秘を感じた。目に見えない世界の表現だ。この映画の波動は何か感じさせる。目に見えない次元に繋がっているような、不思議な映画だ。これは映画を見ているとうよりも未知なる映像体験に近い。

そう、例えるならば、2001年宇宙の旅を見ている感覚。漠然としか提示されないストーリーや、時間軸が遠い過去と未来を行き来する。単なる一個人の話ではなく、これは自然界、宇宙世界全般のストーリーなのだ。

つまり、あまりに難解で普通の人には理解できないとうことだ。私としてもラストシーンの意味がまったく理解できず、後味が悪かった。ここまで難しく、仏教哲学的な映画は初めてだ。仏教や瞑想の勉強しないと分からないのかもしれない。

もう少し高い次元の人間にならないと、この映画を理解することはできないだろう。

だがしかし、考えれば考えるほど深くなる、印象深い映画であった。

Written by kojiroh

参考:『ブンミおじさんの森』アピチャッポン・ウィーラセタクン監督インタビューhttp://www.cinra.net/interview/2011/03/04/000000.php

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