『エグザイル/絆』(2006年、香港)
監督:ジョニー・トー
出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ニック・チョン、ラム・シュ、ロイ・チョン、サイモン・ヤム、ラム・カートン、ジェシー・ホー、リッチー・レン
【点数】
★★★★★★★★★☆ / 9.0点
ハリウッドでのリメイクも決定している2000年以降の香港ノワールの秀作。香港アクション映画の巨匠 ジョニー・トーと、『インファナル・アフェア』のスタッフ・出演陣がタッグを組んで生まれたのが本作『エグザイル』だ。
アンソニー・ウォン、ニック・チョン、フランシス・イ、『インファナル』シリーズの出演陣がよりハードボイルドにガン・アクションを織り成す。これだけでもファンにはたまらない一作だ。
しかし、ミーハーな魅力だけでなく、よくできた脚本と洗練された演出、殺陣の緊張を盛り上げる音楽、「パーフェクト!」と拍手を送りたくなるほど完成度が高い。マフィア、マカオ、銃、渋いサングラスの黒い男たち、そして友情。香港のクールな男たちの姿をこれほどカッコよく映した作品は他に類を見ない。男だらけの物語なのにも関わらず、暑苦しさを感じない。信念を貫き、絆を守る。武士にも通じるモノがある。
さて、本作のあらすじは返還前のマカオを舞台を舞台にした西部劇のようでもある作品だ。マフィアのボスの命令で、旧友であるウー(ニック・チョン)を殺すことになった2人の男(アンソニーウォン&ラム・シュ)と、ウーを守る2人の男(フランシス・ン&ロイ・チョン)がいた。その5人はかつての仲間だった。決闘の末、ウーを殺すまでに、家族のために金を残すことを約束し、5人が再びチームとなり、危険な仕事に手を出すのだが…。
奇妙な縁に巻き込まれてゆく5人の男たちだが、最後まで仁義を貫き、自らの美学に生きる。合理的に生きるズルい姿ではなく、絆のために命をかける人々なのだ。
最後になると、西部劇的なお決まり的なベタにも思える展開をも見せるが、けして陳腐ではない。細かい演出や、小役や小道具が素晴らしいとしか言い様がなく非常に新鮮な映像だ。
コインを投げて、表裏どっちかで決めていた人生を、最後に投げ捨てる。蹴り上げられたレッドブルの空き缶、ラストシーンの男たちの姿は、少しカッコつけすぎだ。
(Written by kojiroh)