『バトル・ロワイアル』(2000年、日本) ―7.0点。10年後に振り返るとスゴイ映画

『バトルロワイアル』(2000年、日本)114min
監督:深作欣二
脚本:深作健太
原作:高見広春
出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、塚本高史、柴崎コウ、安藤政信、高岡蒼甫、ビートたけし

【点数】
★★★★★★★☆☆☆ / 7.0点

「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
北野武の怪演が印象的、おなじみ10年前に国会をも騒がせた話題作・バトルロワイアル。このたび3Dでリバイバル上映されたことで再び注目されている作品でもある。

本作は、『仁義なき戦い』シリーズの巨匠・深作監督の実質的な遺作でもある。独自の荒々しい暴力描写を持ち味としていた深作が最後に作り上げたバイオレンス映画だと思うと、なにやらアツい想いをも感じられる。世界的な巨匠にもなった北野武との共演もなにやら微笑ましく思える。

あらすじは、日本のパラレルワールドとも言える大東亜帝国が国家破綻したことにより、暴走する若者を抑圧するべく、BR法という中学生が殺し合いをするという法案が可決され、そこに巻き込まれる中学生を描いた物語。

世紀末のような雰囲気が、10年後の今でも現実的に思えてしまう。現代社会でも起こりえるような愚かな法案と、そこで犠牲になる若者を描いている。ここに強烈な社会風刺性を感じ取ることができる。早朝のJR渋谷駅がラストシーンが、陳腐なようで、今の日本の姿の行く末のようにも思えてしまった。

また、メッセージ性のみならず、本作は出演陣がスゴイ。当時は無名であったが、中学生を演じた藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、塚本高史、柴崎コウ、安藤政信、高岡蒼甫。今この面子が集まることを考えるとありえない。それほど、『BR』で出世した役者が多く、日本の映画界で成した貢献は大きかったのだろう。

クエンティンタランティーノが本作の大ファンで、栗原千明の『キルビル』への出演へと繋がったり、日本の映画史の中でも大きな役割を果たした邦画の傑作だと思う。英エンパイア誌が発表した「歴代最高の映画ランキング500(The 500 Greatest Movies of All Time)」でも、235位に選出されている。

公開当時に見た感想は、正直言うと原作が秀逸なので、それと比べると本作は劣ってしまった。しかし、世界的に見ると非常に興味深いテーマを、個性的な演技陣と共に、斬新に描いた傑作であることは間違いない。

そして3D化する必要も特には感じないが、その機会で世界的に再び再上映されると思えば、宣伝の一環としてはありなのかもしれない。

10年前に残した最後の深作欣二ワールドが世界に広まっていると思うと微笑ましい。

(Written by kojiroh)

One thought on “『バトル・ロワイアル』(2000年、日本) ―7.0点。10年後に振り返るとスゴイ映画

  1. いやいや少なくとも
    どうみても日本ではあり得んでしょw
    いまのフィリピンならあるかもね..

    >>現代社会でも起こりえるような愚かな法案と

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