『グエムル-漢江の怪物-』(2006年、韓国)―6.0点。ブラックユーモア・モンスタームービー

『グエムル-漢江の怪物-』(2006年、韓国)120min
監督: ポン・ジュノ
出演: ソン・ガンホ, ピョン・ヒョボン, パク・ヘイル, ペ・ドゥナ, コ・アソン

【点数】
★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

韓国歴代動員記録1位を記録した話題の韓国映画。

韓国の才能あるクリエイターが集結した豪華な陣営で作られたポン・ジュノ監督による異色のモンスターパニック映画である。

舞台はソウルの中心を南北に分けて流れる雄大な河、漢江(ハンガン)。河岸でくつろいで過ごす人々が集まっていたある日、突然正体不明の巨大怪物が現れ、そこで売店を営む一家、兄のカンドゥの目の前で、次々と人が襲われてゆき、気付いた時にはカンドゥの愛娘ヒョンソがグエムルにさらわれ、一家でグエムルからヒョンソを取り戻すべく奮闘するも、ウィルスに感染していると疑われ政府に隔離されてしまい、悪戦苦闘するのであるが…。

主人公の兄:ソン・ガンホ,父:ピョン・ヒョボン, 弟:パク・ヘイル, 妹:ペ・ドゥナなど個性溢れる豪華なキャスティングで、その役どころだけでもなかなか見もの。兄はだらしなく太っていて、弟は大学を出てもフリーター、反面妹は大会で活躍するアーチェリーの選手であったりと、非現実的な奇妙な家族ながら不思議な連帯感を見せてグエムルに挑む。

このグエムルのリアルで不気味な動きはエイリアンを彷彿させるようなグロテスクがあり、その化け物から逃げるシーンや、対峙するラストの迫力はなかなか圧巻である。

単純なモンスター映画としても見れるが、本作はかなり風刺の効いた内容になっている。韓国に在中するアメリカ軍が捨てた薬品の影響で怪物が現れウィルスの脅威で理不尽な隔離をする鬼のようなアメリカ軍を描いたり、大卒でもフリータの弟のパク・ヘイルなどのキャラクターの立ち位置が興味深くもある。

彼がヒョンソの行方を探るべく、携帯会社の大手の先輩を訪ねるシーンが印象的だった。

「通信会社の大手だろ?どうやって入ったんだ?」
「なあに、所詮は月給取りさ」

と、韓国企業で勤める先輩とフリーターの弟の掛け合いが、なにやら韓国社会の実態を皮肉に暴露しているようにも思えてしまった。

このように、モンスター映画なのにも関わらず、社会的な描写がやたらとリアルな点が面白かった。アメリカへの批判など、グエルムの怪物の脅威というよりも、その背景にある社会状況や、韓国自体が抱える問題点への風刺、一種のブラックユーモアになっていると思った。怪物を退治するべく、全財産を失い財布のカードまでも抜かれるシーンはあまりにもシュールで笑える。

しかし個人的には主人公のソン・ガンホがあまりにもドン臭くて演技が暑苦しい。それが見所なのだろうが、デキのいい見所ある異色の映画だとは思うが、少しくどくかったかなーという所感でした。

Written by kojiroh

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中