『鉄男 -the iron man-』(1989年、日本) ―7.0点。金属化する現代人の叫び

『鉄男 the iron man』(1989年、日本) 67min
監督・製作・脚本・美術・撮影・編集: 塚本晋也
音楽: 石川忠
出演: 田口トモロヲ、塚本晋也、藤原京、叶岡伸、六平直政、石橋蓮司

【点数】
★★★★★★★☆☆☆ / 7.0点

今年度の『kotoko』のグランプリ受賞で、今やベネチア映画祭を沸かせる世界の映画監督・塚本晋也。彼の存在を最初に世界に知らしめた作品、それが本作『鉄男』だ。


ローマ国際ファンタスティック映画祭のグランプリを受賞して話題になったカルト映画。ある事件をきっかけに身体が金属化してゆくというSFチックでもあり、社会風刺でもあるような作品だ。

『AKIRA』からの影響も感じさせる本作の異様なテンションにはたびたび驚かされる。ワンシーンワンシーンがアイディアの結晶で、製作者の汗も感じるし。コマ撮りの手作業で作られたであろう地道なSFXシーンには、なんだか逆に手作りの良さをも感じる。そこにただならぬ才能も感じる。その時代に、自主制作でこんなすごい作品を作れたことが驚きだ。

モノクロの映像に異様な雰囲気で醸し出されるその映像感覚は、デビッド・リンチの処女作『イレイザーヘッド』(77年)にも匹敵する中毒になる不気味な面白さがある。

基本的に会話などはほとんどなく、金属化する肉体に恐れ、叫び続けるだけの物語とも言える。それほど異常な叫び声が生々しい音で録音されている作品だ。登場人物の関係性もフラッシュバッグなどの断片的なシーンで読み取ることはできるが、基本的にそこまで意味はない。

内容のテーマとしては、金属化して狂ってゆく現代人、というブラックユーモアなのではないかと思える。

石川忠の音楽がインダストリアルメタルのように響き渡り、映画というよりある種の映像作品のような作品であり、無駄に荒々しく長い部分もあるが、なぜだろうか、もう一度見たくなる中毒性がある。

特に塚本晋也は電話の使い方が本当にうまい。ストーリーを伝えるために電話でのメッセージを巧みに使う。その手法は後に『六月の蛇』でも引用されている。

良くも悪くも塚本晋也の原点にして、その才気を全て堪能できるような作品だ。

尚、本作はナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーも絶賛し、後の『鉄男 the bullet men』での楽曲提供に繋がった、まさに後年に大きな影響を与えた世界を圧巻させた歴史的一作だ。

鑑賞後、しばらくして何やらまた見たくなる衝動に襲われている。

(Written by kojiroh)

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