『ミックマック』(2009年、フランス) ―6.5点。現代的風刺の妙にリアルなファンタジー

『ミックマック』(2009年、フランス)Micmacs à tire-larigot 105min
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
脚本:ジャン=ピエール・ジュネ、ギョーム・ローラン
出演:ダニー・ブーン、ドミニク・ピノン…フラカス、ヨランド・モロー、ジャン=ピエール・マリエール、ジュリー・フェリエ、ミッシェル・クレマド、マリー=ジュリー・ボー、オマール・シー、アンドレ・デュソリエ、ニコラ・マリエ

【点数】
★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

『デリカテッセン』、『アメリ』などの話題作で有名な鬼才、ジャン・ピエール・ジュネ監督の最近作が、つい先日、公開されたことを知り、アメリフリークの筆者は前評判も高いことだったので見に行ったのが2010年9月、新宿の「とうきゅうスクエア」である。

あらすじは、レンタルビデオ店で働くバジルが、発砲事件で流れ弾を頭に喰らい、摘出されないまま頭の中に残ってしまった。そのせいで彼は全てを失ってしまったのだが、スクラップ工場の仲間と知り合うことで新たな人生を歩み始めることになる。そしてある日、頭の中の銃弾を作った会社を発見し、彼は工場の仲間と共に軍需企業へのイタズラ(復讐)を企てるのだが…。

本作でもジュネ監督特有のスピーディーにカワイくもある世界の切り取り方が冴えていた。新鮮で、個人的には夢物語を見ている気分になれてすごく好きだ。ブラックでフランス的甘美さのあるユーモアが満載の世界が広がっている。

ジュネ映画お馴染みのドミニク・ピノンが出演していることも、ファンにはニヤリとしてしまう展開だ。

そしてファンタジーと現実社会が融合している不思議な物語である。事件に巻き込まれて銃弾が頭に残った主人公は仕事を失いホームレスになるのだが、そのへんが雇用難のフランスの現状を感じさせられる。ホームレスながら仲間と楽しく愉快に暮らすのだが、変に風刺が効いていてシュールな話だ。

そんな社会の底辺的な立場の人々ながらも愉快な仲間たちと一緒に社会的な影響を及ぼすような壮大なイタズラを仕掛ける構成は、『スティング』を思い出させるような、悪人をハメる物語だ。

随所に情報社会やテロリズム問題などの現実的な風刺を盛り込んでいて、監督のメッセージ性を感じる。

高度に発展した社会の先には、情報化社会のネットワークによって、悪い行いをする人間は滅びていく運命があり、それを政治的な権力によってではなく、ホームレスのような下位にいる人々からでも、巨大な利権に立ち向かう力を持ちうる、というメッセージだ。

とは言っても話ができすぎているので正直、ありえねーろ!と突っ込みたくなるファンタジーで終わっているかなとも思ってしまう。

よくできたいい映画ではある。メッセージもある。しかし、本作は結局は『アメリ』の焼き直し感が否めない。

男性版、『アメリ』を現代のネット社会でやったらどうなるか、みたいな。高校生の時に『アメリ』を見たときのような衝撃はなかったことが少し残念でもある。

『アメリ』未見の人が見た方が面白い映画なのかもしれないが、『アメリ』で試みたシュールで可愛いユーモアとフランスの現代への風刺は既に完成してしまったので、やはり焼き直し止まりかなと思った。

Written by kojiroh

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