『ブラジルから来た少年』(1978年、アメリカ) ―7.0点。ナチ映画のカルト的傑作


『ブラジルから来た少年』(1978年、アメリカ) 124min
監督:フランクリン・J・シャフナー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
原作:アイラ・レヴィン
出演者:グレゴリー・ペック、ローレンス・オリヴィエ、ウォルター・ゴテル、ジェームズ・メイスン、ブルーノ・ガンツ、マイケル・ガフ、スティーヴ・グッテンバーグ

【点数】
★★★★★★★☆☆☆ / 7.0点

日本で未公開になっている隠れた名作と知られる、「猿の惑星」のシャフナー監督の意欲作。Tsutayaの本当に面白い100本に選ばれていて、このたび手に取る。その名のとおり、ナチの残党に関する興味深いテーマで描かれるカルト的な作品である。

タイトルのブラジルとナチスがどう関係あるのか、そのあらすじは、元ナチス・ドイツの一員で第三帝国の復興をもくろむメンゲレ(グレゴリー・ペック)は、2年半のうちに65歳の公務員を94人殺すという奇妙な陰謀を企てるが、ナチ残党の研究で知られるユダヤ人老人(ローレンス・オリヴィエ)はその陰謀を知り、阻止しようとするが、やがてメンゲレの本当の恐るべき計画が明らかなる……。


ジェリー・ゴールドスミスの音楽が鳴り響き、ナチスと陰謀を描いた映画ながらも、どこか重くるしすぎないシュールな雰囲気をかもし出している。そして特にグレゴリーペックが演じるメンゲレの存在感がヒールながらもすばらしい。

最初は輪郭がはっきりしないストーリーであるが、徐々に明らかになってゆく巨大な残ナチの陰謀にはぞくぞく来るものがある。

「ブラジルから来た少年とは何か?」 ネタバレになるので言えないが、サスペンスとしても見ごたえのある一作である。

それでいて、独裁者としてではなく、アドルフヒットラーの人間性そのものに迫るような物語であり、反ナチ映画でありながらも人としてのヒットラーを肯定しているように感じる。どこか風刺的な一面があるのだ。そしてヨーゼフ・メンゲレという人物や残ナチの動向など、戦後のナチスの残党のことを知るにも興味深い一作である。

とりあえず本作を見れば、あなたはこの不思議なタイトルの真意を知ることになるだろう。

Written by kojiroh

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