『チェイサー』(2008年、韓国) ―8.0点。猟奇的な韓国犯罪サスペンス最高峰

『チェイサー』(2008年、韓国) 125min
監督・脚本:ナ・ホンジン
出演者:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ、チョン・インギ、パク・ヒョジュ、キム・ユジョン、ク・ヌボン

【点数】
★★★★★★★★☆ / 8.5点

ディカプリオ主演でリメイクが決定している韓国のサスペンス映画の傑作、実際に起きた猟奇殺人事件にインスパイアされた映画だ。韓国のその手の映画ならばポンジュノ監督の『殺人の追悼』などが有名だが、それ以上に『チェイサー』はリアルタイムでの追跡の緊張感が素晴らしい名作になっていると思う。


あらすじは、デリヘルを経営する元刑事ジュンホの元から相次いで失踪する女たちと、街で多発する連続猟奇殺人事件。ジュンホは、女たちが残した携帯電話の番号から客の一人ヨンミンに辿り着き、そこから女の行方を追及すべく、警察も交えてヨンミンの犯罪を暴こうとするのだが…。

夜の街と風俗ビジネス、陰湿な空気が漂う韓国の町並みで、不気味に迫りくる猟奇殺人、あっけなく犯人が捕まったと思いきや、そこからが始まりであるという斬新な構成で、序盤からぐいぐい引き込まれる。


元警察と警察、犯人の三つ巴の追っかけっこが緊迫した迫力を生む。乱暴な主人公を演じるキムユンハクの怒鳴りっぷりや、下っ端をこき使ったり、しかし最後には人情の熱さを見せる人物像は、朝鮮民族的でありつつも興味を引かれる。


普通の青年にも見えるが、狂気に満ちた殺戮を繰り広げるハ・ジョンウの存在感が不気味だがすごい。風呂場でのハンマーを使った殺戮シーンの生々しさや、熱帯魚の水槽の入れられた生首など、残虐描写を利かせつつも物語を際立たせる効果的な演出が散りばめられている。

この家を探して追跡をするという展開には息を呑む。そこに「チェイサー」の真髄があると言える。

堅苦しい司法制度、暴力的な警察、異常犯罪者による止められない猟奇殺人、韓国社会の問題に否定的なスポットを当てているとも言えるテーマ設定は、『殺人の追悼』とも極めて似ているが、それを元刑事・犯人・警察という3つ巴という斬新なスタイルで描いた非ハリウッド的な本作は、悲劇的で暴力的、猟奇的な人々が織り成す、韓国だからこそと言えるバイオレンス・サスペンスの最高傑作であろう。

Written by kojiroh

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2 thoughts on “『チェイサー』(2008年、韓国) ―8.0点。猟奇的な韓国犯罪サスペンス最高峰

  1. えげつないバイオレンスですよね リアルというか・・・・一般人は巻き込まれないように・・・・と祈るのみ
    そんな絶望的な空気に支配されてますよね

    1. 祈るけれども、助かるようにと祈るけれども見事に裏切られる…。その絶望感や悲劇的な結末が韓国映画の面白いトコでもあるんですがね、なかなか作れない名作だと思います。

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