『アンヴィル』(2009年、アメリカ) ―9.0点。最高のロック&ドキュメンタリー映画


『アンヴィル』(2009年、アメリカ) 81min
監督・製作総指揮:サーシャ・ガヴァシ
製作:レベッカ・イェルダム
音楽:デイナ・サノ (監修)
編集:ジェフ・レンフロー、アンドリュー・ディックラー
出演者:スティーヴ・”リップス”・クドロー、ロブ・ライナー、ラーズ・ウルリッヒ(メタリカ)、レミー・キルミスター、スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)、トム・アラヤ(スレイヤー) 、スコット・イアン(アンスラックス)
【点数】
★★★★★★★★★☆ / 9.0点

いきなり冒頭に出てくるメタルの大御所。

特にメタリカのラーズウルリッヒ、スラッシュの姿には驚く。こんな大物が語るバンド”アンヴィル”とは一体何者なのか。一瞬にしてこの映画の世界に引き込まれた。

84年の日本でのライブから始まり、かつての名曲「メタル・オン・メタル」の音楽が前編に渡って鳴り響く。30年のキャリアを経ても尚、ビッグになれずに夢を追い続けるメタルバンド”アンヴィル”の活動を2年もの歳月をかけて追ったドキュメンタリーフィルムである。監督のサーシャ・ガヴァシ自身がアンヴィルのファンであったことから始まった企画であるが、ドキュメンタリーとは思えないほど見事なストーリーができている。

「彼らがビッグにならないなんて、業界は厳しいよ」
「アンヴィルは衝撃的だった。みんな盗むだけ盗んで、彼らを見捨てたんだ」

80年代のメタル最盛期を生きた時代の人々のコメントが続き、世界中で何百万枚のセールスで成功したような大御所とは違い、日常の単調な仕事に従事せざるを得ない彼らの生活が浮き彫りになる。

家族もいて息子もいて、大して金はないが職はある。しかし、夢を追い続けている。夢をかなえきれずに卑屈になっているようにも思えるが、やりたいことをやりきって、成功していないことに不満ではあるが、人生哲学、信念を持ち、饒舌に語り続けるリーダーのリップスのキャラクター像には一瞬で引き込まれた。

晩年ではあるが、かつてのファンからの誘いでヨーロッパツアーへ挑むところから、物語は始まる。彼らの活躍をダイレクトシネマのような手法で、極めて映画的に描いている奇跡のようなドキュメンタリー映画であり、記録映画の枠を超えている。ドキュメンタリーでここまで映画的に描けた作品が過去にあっただろうか。


“This is Fuckin dream, but I will make Come True!!”
仲間内で喧嘩を始めたり、ドラムスのロブとの名コンビっぷり、出演料の支払いでもめたり、電車に乗り遅れてきまづい空気になったり、ゆきゆきて神軍のようなフィルムに匹敵するような迫力がある。それは間違いなく映画的な迫力だ。

「ツアーを終えて、旅から帰ると待っているのはクソ単調な日常だ」
リップスのアツい想いがもはや名言になっている。本作は彼の語録&名言集のようにもなっている。30年というキャリアと50年の人生が凝縮されている言葉だ。誰も彼を笑えない、僕らはみんなそうなんじゃないかな。人生の重みさえも感じることができる。

ツアーが終わり、彼は13枚目のアルバムに取り掛かろうとするが、200万近い大金が必要になり、新しい仕事を始めようとするのだが…。そうしたエピソードが積み重なり、滑稽で面白おかしい作品でもある。

だがしかし、ラストは不思議なことに涙がこみ上げてきた。

しかしこの映画はもう少し長い時間見ていたいと思った。80分ではあまりに短すぎる。もっともっと、色々なエピソードがありそうだとも感じ、珍しく続きが見たくなり、続編的なものを期待したくなった。それがドキュメンタリー映画であるからさらにすごい。

本作「アンヴィル」は、マイケルムーア監督がここ数年のドキュメンタリー映画で最高傑作というのが納得できる。それほどすばらしい、筆者が過去見てきたドキュメンタリー映画の中で、間違いなく最高傑作だった。

Written by kojiroh

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