『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年、デンマーク) ―7.0点。音楽だけに救いがある


『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年、デンマーク) -140min
監督 ・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演 : ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、デビット・モース、ピーター・ストーメア、ジョエル・グレイ

【点数】
★★★★★★★☆☆☆ / 7.0点

デンマークの鬼才、ラース・フォントリアー監督の名を世界に広く知らしめた、2000年度のカンヌ映画祭グランプリ受賞作。歌手のビョークが主演し、Radioheadも音楽でコラボした話題作。

そんな嬉しいニュースで沸かせた本作であるが、内容は悲劇であり重く暗いというのが正直な一言であった。

あらすじであるが、ビョーク扮するセルマは、チェコからアメリカへやってきた移民で、プレス工場で働きながらミュージカルという空想の世界を楽しんでいる。しかし遺伝性の失明の病気を抱えているため、同じ病に侵された息子の手術費用を稼ぐため身を粉にして毎日働くのだったが…。


平穏そう、明るく見える自分の身の回りで、助けてくれる人々もいるが、貧困・病気、社会の底辺でもがき苦しみながらも、息子に希望を託そうとする無邪気なビョークの姿は鬼気迫るものがある。

しかし『ドッグヴィル』にしても、トリアー監督は奇抜な構成の中で、現実の残酷な人間の姿を描くのが本当に卓越している作家だなと思わされる。

目が見えなくなるような状況においても、単調な肉体労働で貯めて金を缶に入れて貯金をする姿、それとは反対に裕福な家の人が平気で自転車を買ってリッチに暮らしているかと思いきや…。ともかく人間の階級と残酷な心理をここまで感じられる映画はそんなにないと思える。

そこにはある種、ドル社会、アメリカの資本主義への批判的な視点をも感じる。テルマが必死に握り締めるドル札が、なんだか残酷な悲しさがあった。


そして善良な表面から豹変するビルの表情は狂気に近いものを感じる。

暗くて救いのない作品なのだが、出演陣、特にビョークの息遣いまでものが迫ってくるように響く、ドグマ95的な自然光、オフレコを封じた生身の撮影手法による映像には息を呑む。強烈に頭に焼きつく映像世界が広がってくる。


カトリーヌ・ドヌーブの演技も冴えている。この物語で唯一救いがあるようなポジションだったと思う。

ただ本作には本当にミュージカルが必要だったのか、と思ってしまった。
辛い単調作業による労働の中で、音楽という虚構の世界へ逃げているビョークの音楽世界は素晴らしいのだが、個人的には少しこのミュージカル仕立ての構成がポップな一面を描きすぎていて蛇足だなと。

救いのない作品であるなら、ミュージカルのようなポップさに救いを求めずに徹底した方が個人的には好みだったかなと思える。ドグマ95の手法によって作り出された完全オリジナルの文句なしの傑作であることは間違いないのだが。

Written by kojiroh

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