『マイウェイ 12000キロの真実』(2011年、韓国)―145min
監督・脚本:カン・ジェギュ
出演:チャン・ドンゴン、オダギリジョー、ファンビンビン、キム・イングォン、キム・ヒウォン、佐野史郎、山本太郎、etc
【点数】 ★★★★☆☆☆☆☆☆ / 4.0点
※リアルタイム映画評
話題の超大作、マイウェイ。オダギリジョーがカン・ジェギュ監督から熱烈なオファーを受け出演し、韓国映画史上最高額の製作費が投じられた『マイウェイ』。
しかし反日要素が強い上に、日本のマンガのパクリであるストーリー、そして実話に基づいているといいながらもほぼ嘘八百らしいと噂の本作を私は試写会に見に行った。
さてあらすじであるが、舞台は1928年、日本占領時代の朝鮮。全く境遇の異なる2人、憲兵隊司令官の祖父を持つ日本人の長谷川辰雄(オダギリジョー)。幼い頃から長谷川家の使用人で、マラソンにおいては辰雄のライバルとして共に育った朝鮮人のキム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)。マラソンで金メダルを夢見る2人だったが、いつしかその関係は国同士の戦いとなり、憎み合うようになる。やがてオリンピック選考会で事件が発生し、ジュンシクは罰として日本軍に強制徴用されることになる。そして1939年、ノモンハンで2人は運命の再会を果たすのだが…
ノモンハンからノルマンディーまで、真実に基づいた一大スペクタクル!
というノリであるが、ヤフーオークションでもかなり安く試写会チケットが暴落していたので、見る前から嫌な予感を感じていた…。
さて結論、迫力がある戦闘シーン、そしてオダジョーとチャンドンゴンの演技はなかなかよかったです。地味にファンビンビンや佐野史郎も主演していて豪華です。
「我々に後退はない!名誉ある死を!天皇陛下、万歳!」
など『硫黄島の手紙』にも匹敵する日本国兵になりきるオダジョーの冷酷さは迫力がある。さらに、「朝鮮人め!」と罵倒する悪徳日本将校を演じる山本太郎が最も素晴らしく冴えていて、これは演技とも思えぬほど真に迫っていた。
がしかし、いい俳優を集めておきながら、やっぱりデタラメな作品だと思った。
本作で描かれる朝鮮人は、勤勉で努力家で日本人に負けず劣らずの能力を持つが、残虐な日本に侵略されて戦場に奴隷のように連れ出される― という姿。『猟奇的な彼女』や『息もできない』、『チェイサー』などで見せた暴力的で民度の低い黒い一面はまったく見せない美徳っぷりがまずうさんくさい。
キムジュンシュクと長谷川の二人の運命があまりも奇跡的すぎて、最後は名コンビのようにも思えてくるが、ファンタジーを見てるようなでたらめな歴史と真実によって最後は「今の日本があるのは、韓国のおかげだ!」的な、日本に恩を売る韓国政府の陰謀が見え見えの映画である。
駄目な脚本ながらも多少面白くしているのは監督の圧倒的な迫力の戦闘シーンであろうが、二大スターを起用しておいて、この映画に政府からどのぐらいの金が流れているかが最も気になるところ。
さらにまずいのがこの映画二時間半もある。これにはさすがにストレスが溜まった。1時間半ぐらいで十分じゃないかと思えるほど。
日本でヒットするかもしれないが、それは間違いなくオダジョー効果であり、8割方の日本人はやらせっぽい日本の戦争功罪描写にストレスが溜まる映画ではないかと思います。韓国の偉大さを主張している映画でもあるので、韓国以外ではあまり流行らない映画ではないかと思える。
本当の韓国の姿とは? 理不尽な侵略で日本から差別された可愛そうな民族であったのか?ともかく色々と考えさせられる映画であった。
そうか。こうした映画を作ることこそ、まさしく朝鮮民族のマイウェイなのだな!
Written by kojiroh