『2046』(2004年、香港)―6.0点。香港の巨匠&アジアスター集結だが…

『2046』(2004年、香港)―129min
監督・脚本:ウォン・カーウェイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイーetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

香港の巨匠、ウォンカーフェイ監督の『花様年華』の続編であり、一部『欲望の翼』の続編。トニーレオン、木村拓哉などのアジアスターを集結させて長い年月をかけて作られ、カンヌ映画で上映されて話題になった『2046』。


「どうせ永遠に続く愛などない」
舞台は1960年代の後半、愛に見切りをつけながら女遊びをしつつ、物書きとして生きるチャウ(トニー・レオン)。香港の古びたホテルに住むチャウは、それまでの女性たちとの思い出を胸に、ある近未来SF小説『2046』を執筆する。それは、失われた愛を見つけることができる“2046”へ向かう列車の物語。2046から帰ってきた者はいない、ただひとりの男(木村拓哉)を除いては…。

木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイーなどなどアジアを代表するスターが勢揃いで、なぜこんな面子が集まったのか不思議に思えるほど豪華。その割にはポップな作品ではなく、不思議な内容だ。


2046という謎めいたタイトルとSFめいたストーリーを予感させるフローには期待をついつい高めてしまう。しかし、木村拓哉の演技は悪くはないが、相手が広東語を話しているのに、日本語でやりとりしているシーンには違和感大。言葉のやりとりがないような設定にして、うまくごまかしている感じを受けてしまう。


驚くほどこの作品は場面がない。密室劇かと思えるほどにセットがない。室内かパーティーの席か、ネオンが消えているホテルの屋上か、シンガポールでの賭博か、2046という近未来小説の舞台か。

基本的には時間軸に沿って、次々と女性が出てくる。
合計で3人の女性とのエピソードが並べられるという筋だ。

そんなわけで登場人物が多いこともあり、時間が長くなっている。だがその割には場面の切り替えが少なく、少し飽きる。

俳優の演技を突き詰めたい意図なのか、色んな国に行く割りには街や風景の全体像がなく、あまり現実味のない映画に感じられた。

前作『花様年華』のようなカンボジアとアンコールワットへと飛んでゆく世界観は感じられず、少し残念。見応えはあるのだが、本作はウォンカーフェイの趣味のような作品になってしまった。

また本作のエピソードは、すべてカーフェイ自身の女性遍歴を投影しているかのようにも思えてしまい、あまりにもストーリー性がない。つまり直感的な作品になりすぎていて、129分見るには少ししんどい部分があった。

「もともと最初から、貸し借りなんてなかったんだ」
恋愛の悟りのようなセリフで本作は幕を閉じる。

個人的にチャン・ツィーとトニーレオンのエピソードが本作の最も面白い部分であり、チャンツィーの切ない美しさが素晴らしい部分。制作の関係上なのか出番も多く名前が上に出ているが、木村拓哉は所詮、脇役にしかすぎないのだが、2046のエピソードを推しすぎている。アンドロイドとの愛など必要のないエピソードだったのではないかと思えてしまう。

いいシーンもある、音楽の選曲も相変わらずセンスがよく映像美もあるが、アジアのスターを集結させて5年の歳月をかけた割には少し残念な作品だった。

Written by kojiroh

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