『猟奇的な彼女』(2001年、韓国) ―122min
監督・脚本:クァク・ジェヨン
原作:キム・ホシク
出演:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン、キム・インムン、ソン・オクスク、ハン・ジンヒ、キム・イル
【点数】
★★★★★★★☆☆☆ / 7.5点
世界中でヒットを記録した韓国映画の代表作。ネットでの実話から書籍化された物語を低予算ながらも映画化した秀作。日本でもレンタルでのヒットを記録した名作として語り継がれている。
筆者もずっと前から見ようと思っていたが、どうもラブコメのような映画は趣味ではないのでずっと敬遠していた。しかし韓国映画への理解を深めようと思い、重い腰を上げてレンタルで鑑賞した。
さてあらすじでは、兵役が終わって復学したナンパ大学生キョヌは、ひょんなことから出会った「彼女」と交友を深めることになる。老人に席を譲らなければどつき、援交らしきカップルに文句をつけ、「ぶっ殺されたい?」と罵倒するような乱暴な彼女に振り回されてゆく…。
単純な話なのだが、このような乱暴な女性を主軸に置く物語として最高傑作ではないかと思えた。ドラマみたいな陳腐さがあるが面白い。
おっちょこちょいでドンくさい主人公のキョヌと、乱暴で暴力的な彼女の名コンビっぷりが面白い。最初はなんだかださいなあと思いながら見ていたのだが、笑える展開やドラマチック要素もあり、次第に引き込まれ、チョン・ジヒョンの猟奇っぷり可愛く思えてくる。
また、儒教の発展して年功序列であったり、お堅い親、地下鉄のシーンであったり、韓国ディズニーランド、韓国の文化的特徴を色んな場面から垣間見ることができる点も興味深い。
酒を飲んではすぐにつぶれて暴言を振るう娘の彼女、そして同様の父。飲んだくれで暴力を振るう姿は純粋に笑えるし、そこに韓国人の文化の特徴をも感じることができると思った。
「運命というのは 努力した人に 偶然という橋を架けてくれる」
ドラマっぽい安っぽさもあるのだが、なかなか胸に響くシーンもある。悲劇の多い韓国映画にしては珍しく希望のある内容でもある。最後はネタバレになるので深くは言わないが、近親同士の恋愛や結婚が多い韓国の文化を感じるものだった。
さてその後、本作を原作として日本ではテレビドラマ化、アメリカでもリメイクで映画化されたが。しかしどれも視聴率や面白さもぱっとしないさえない作品になってしまった。それは一重に、「猟奇的な彼女」という存在次第が、韓国以外の国では現実味の薄いドラマになってしまうからではないだろうか。あくまで猟奇的がリアルになるのは国の文化の影響が強い。
その意味で「猟奇的な彼女」は韓国文化を象徴する歴史的な名作であることは間違いないだろう。
Written By kojiroh
One thought on “『猟奇的な彼女』(2001年、韓国) ―7.5点。元祖・韓国流ラブコメディ”