『マネーボール』(2011年、アメリカ) ―7.5点。野球のマネジメントドラマ


『マネーボール』(2011年、アメリカ) ―133min
監督:ベネット・ミラー
脚本:スティーヴン・ザイリアン、アーロン・ソーキン
原作:マイケル・ルイス
出演:ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、フィリップ・シーモア・ホフマンetc

【点数】
★★★★★★★☆☆ / 7.5点

あの『ソーシャルネットワーク』のスタッフが制作した話題の野球映画が本作『マネーボール』。マイケル・ルイスによる『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』が原作である。

あまりスポーツ映画は好きではない筆者であるが、チャイナエアラインの中で新作映画としてさっそく紹介されていた上に、周りの人の評判もよかったので見ることにした。


さらすじはシンプルで、オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、元プロ野球選手のビリー・ビーンがセイバーメトリクスを用い経営危機に瀕した球団を再建する姿を描くというもの。マネーボール理論を用いて、貧乏球団ながらも野球の世界に革命を起こそうとするのだが―。

感想としては、ずばり面白い。
そしてこれはスポーツ映画ではなく、社会派のビジネス人間ドラマであるといえる。野球のマネージメントの世界、冷酷なトレードの場面などを会話しているだけなのだが異様な迫力がある。


本作の斬新な点は、スポーツ選手に焦点を当てた作品ではなく、スポーツのマネージメントをする人々にスポットライトを当てた点にある。これほどまでに選手の登場場面が少ないスポーツ映画が今まであっただろうか。主役は選手ではなくマネジメントをする者なのだ。

そしてブラット・ピッドの冷酷なようで情が深い主人公には感情輸入できるし、ジョナ・ヒル演じるエール大学卒業の太っちょエリートの二人の名コンビっぷりはなかなか秀逸。

ジンクスを信じて試合を見ないところなどにキャラを感じる。そんな凸凹のように思える二人が古いシーンを変えて革命を起こそうとする場面は胸が熱くなる。そしてソーシャルネットワークでの、ザッカーバーグとショーン・パーカーの名コンビっぷりをも彷彿させる。


特に、20連勝を達成するか否かの場面において、車を引き返して球場に向かうブラッドピッドの姿はなかなか迫力がある。スポーツ以外の場面でこれほど物語を盛り上げる手法はなかなか圧巻。

ソーシャルネットワークもそうだが、派手なアクションがない密室劇のような話を、これほどまでに迫力がある映像に仕上げる手法は驚きだった。

もしかするとこの映画自体が旧来のスポーツ映画に革命を起こしたのかもしれない。

Written by kojiroh

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