『スラムドッグ・ミリオネア』(2008年、イギリス)―8.5点。インドの現在を描いた傑作


『スラムドッグ・ミリオネア』(2008年、イギリス)―120min
監督:ダニー・ボイル
脚本:サイモン・ビューフォイ
原作:ヴィカス・スワラップ『ぼくと1ルピーの神様』
出演者:デーヴ・パテール、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピントー、アニル・カプール、イルファーン・カーンetc

【点数】 ★★★★★★★★☆ / 8.5点

いわずと知れたアカデミー賞8部門を総なめにした作品賞受賞作であり、他にも各国の映画祭で数々の受賞をなしたゼロ年代を代表する傑作のひとつ。

まずはその巧妙に脚色されたストーリー構成に衝撃。予備知識はほとんどない状態で鑑賞開始したが、冒頭からぐいぐい引き込まれる。ミリオネアに出演している現在と、その設問に関して時空を交錯させて主人公ジャマールの物語が語られる構成は見事だと思った。


あらすじであるが、舞台はインドの大都市ムンバイ。そこにある世界最大規模のスラムで生まれ育った少年ジャマールは、コールセンターのお茶くみをしている底辺層の人間であるが、テレビの人気クイズ番組『フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア』に出演する。そこでジャマールは数々の問題を正解してゆき、なんと最後の1問にまで到達。しかし、無学の彼がクイズに勝ち進んでいったために、不正の疑いがかけられてしまうのだが…。

ダニー・ボイル監督特有のスピーディーなカット、逃走したり疾走する際の早いコマ回しが緊張感がありハラハラする。それは『28日後』から変わらずで、楽しめる。インドの溢れんばかりの人口、列車、自然、インドへ行く前に見るべき映画の一本であろう。ミステリーサスペンスからアクション映画の要素まで盛りだくさん、様々なアイディアが盛り込まれていて圧巻の完成度だ。



さらにインドの現実をリアルに映し出していると思えた希少な映画だ。
特に筆者自身もインドへ行ったことがあるので、その絶望的な格差と、インド人同士の壮絶な足の引っ張り合いであったり、インド強欲的な負の部分をえぐっていると思えた。

金、金、金。貧困や格差の中で金の亡者になっている人々により、さらに絶望的な格差が生まれている、それがインドのスラムの現実なのだと。しかしそんなこの世の果てのような場所でも、一握りの希望は残されている―。そんな思いになれる清々しい物語だった。


それにしてもインド人による出演陣によって構成されるキャストも魅力的。フリーダ・ピントーなどの美しさも際立つ。本当のインド系の人々によって純正に作られているのでうそ臭くない。

イギリス人監督がこのような形でインドを描いて世界中に伝えたことは、映画史的にも大きな意義があったと思える傑作であろう。

Written by kojiroh

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