『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年、アメリカ)―9.0点。ハリウッド版リスベットに圧巻


『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年、アメリカ)―158min
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:スティーヴン・ザイリアン
原作:スティーグ・ラーソン
音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス
出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー
スティーヴン・バーコフ、ステラン・スカルスガルド、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン、ベンクトゥ・カールソン、ロビン・ライトetc
【点数】 ★★★★★★★★★☆ / 9.0点

※リアルタイム映画評

フュンチャー監督の最新作『ドラゴンタトゥーの女』を観た。
冒頭からPVのような映像と共に、レズナーRemixの「移民の歌」が大音量でシアターにガンガン。ああ、NINフリークの俺には溜まらんオープニング。

レズナーの新譜を映画館で聞けただけで満足なほどだったが、ただただルーニー・マーラーの主演が素晴らしく、気付いたら2時間半。これは傑作―、と胸が熱くなると同時のこの小説『ミレニアム』の世界観に夢中になっていた。

本作の舞台はスウェーデン。

雑誌「ミレニアム」の発行責任者ミカエルは名誉毀損で有罪判決を受ける。そんな中、かつての経済界の大物一族の長がある依頼をした。40年前に起きた、彼が最も愛した16歳の娘ハリエットの失踪事件の謎を解いてほしいと。やがて彼のもとに天才的ハッカーの“ドラゴン・タトゥーの女”、リスベットが助手として加わることに。そして2人は、一族の忌まわしい過去の謎を明らかにするのだが…。

本作が面白い理由としては、それにしても、まずは原作がいい。天才ハッカーと雑誌の編集者というアウトローに近い高い頭脳を持った存在が、社会の大きな力の闇を暴いてゆくようなそんな構図を、個性豊かなキャラクターが痛快かつ社会的に描いている。個人的にかなり好みだ。

はぐれ者の切れ者2人が巡り合わせて巨大な謎を解いてゆくミステリの王道のフォーマットを辿りつつも、その人物描写、現代性が見事に表現されていて素晴らしい。

そして本作最大の衝撃がドラゴンタトゥーの女、それを演じるルーニ―・ローラ。

最初の登場シーンから既に、シビれるようなカッコよさ。この存在感には圧巻。レズナーが手がける音楽と共に登場してきたこともシビれる要因の一つ。(レズナーとフュンチャーのコンビは昔からずっと続いていて毎度毎度、素晴らしいコラボを見せてくれる点が微笑ましい。)

あまり予備知識なしで見に行ったので、この女優は一体何者だ!?と最初は衝撃を受けた。まさか前作『ソーシャル・ネットワーク』で清楚な女子大生エリカを演じた役者だとは予想だにできず。

タトゥーに始まり、竜のような髪型に顔中のピアス、パーカーを着込んだ現代風のスタイリッシュなファッション性、そしてバイクでの疾走などアクションでも観客を魅了してくれる。気付いたらリスベットに夢中だった。

フュンチャー監督はいつも強烈な個性を焼付けてくれる。
特に、いつもながら、なんであんなカッコよく、PCを使った仕事風景を描けるのだろう。異様に早く鬼気迫るようなタイピングや、頭をフル回転して操作するような場面の迫力。

『ソーシャルネットワーク』での主人公が失恋して猛スピードでプログラムを作り上げる場面での疾走感も素晴らしかったが、本作でもジャンク食を食べながらPCの前でコーラを飲みながらハッキングをするリスベットのカッコよさは尋常ではない。
そんでもって、アップルから協賛貰ってるんじゃないかと疑うほどマックブックがスタイリッシュでクールだ。

脇役にも愛情を感じる。

ヒール役も、それぞれがなかなか強烈なインパクトを残している。

ネタバレになるのであまり不覚は言及しないが、地下の拷問室で流れるエンヤ のオリノコ・フロウなど、残酷な場面に対照的な明るい音楽を流しているあたりも強烈なインパクトを覚えた。

とにかく158分の中に様々なエピソードを詰め込んで濃縮していて、最初は情報過多で困惑しそうだが、このスピード感と世界観に飲み込まれたら二時間半など短いほどに感じられる。


マックブックとコーラ、ジャンク食、タトゥー、バイク、NINのTシャツ、猫、とにかく数え切れないほど小ネタを用意してくれていてもう一度見たくなる中毒性がある映像世界だった。

なんだか歯切れの悪いラストが、後味悪そうでなんともフュンチャーらしい。

しかしそれは彼はセブンのころからそうだが、強烈なキャラクターの個性を惜しみなく描写し、歯切れの悪いラストを迎える。セブン、ファイトクラブ、ソーシャルネットワーク、そういえばすべてそういう落とし方をしている。だからこそ、そのキャラクター造形にハマってゆくのかもしれない。

続編もありそうなラストであったのが、フュンチャー監督、ルーニー主演、音楽レズナーが実現しなかったら劣化すること間違いないので、期待しつつも逆に続編に懸念である。

(そういえば本作はR15ならではのモザイクシーンがあって少し残念。なんかこういう美しい映画でモザイクはいると萎えるなと劇場で初めて感じた―)

ともかく、まとめると今年度No.1の映画キャラはルーニーのリスベッドで決定だろう。

Written by kojiroh

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