『アーティスト』(2011年、フランス)―6.0点。古きアメリカ映画への届かぬ憧れ


『アーティスト』(2011年、フランス)―100min
監督:ミシェル・アザナヴィシウス
脚本:ミシェル・アザナヴィシウス
音楽:ルドヴィック・ブールス
出演:ジャン・デュジャルダン 、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェルetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

第84回アカデミー賞作品賞受賞、さらには監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)など5部門を受賞した、今年一番の話題作が『アーティスト』。

この時代のサイレントを観れるなんて、さらにはそれがオスカーに輝くなんて、一体どんな映画なのかと筆者は期待を胸にして鑑賞した。

さて舞台は1927年、ハリウッド。
サイレント映画のスター、ジョージは、彼に憧れる女優の卵ペピーと出会い、彼女に優しくアドバイスをおくる。そんな中、時代はセリフのあるトーキー映画へと大きく変わっていく。しかしジョージは、自分は芸術家だと主張してサイレント映画に固執、瞬く間にスターの座から滑り落ちる。そんなジョージとは逆に、ぺピーは時代の波に乗ってスターの階段を駆け上っていく…。


この2012年に、まさかサイレントの映画の新作を観ることができるなんて不思議な体験んだ。過去にチャップリンなどのサイレント映画にはまったことのある私は、このたび久しぶりに無音の映画を味わう喜びを思い出し感動した―、という部分もあった。しかしそれ以上に、この時代にサイレント作ったにも関わらずこんなもんなの?という「期待外れ」な想いの方が残念ながら大きかった。

ジョージとペピーの主演の二人の名コンビぶりがセリフがない無音の状態にでも伝わってきたり、犬の名演が楽しめたりと見所が多くて、もちろん完成度の高い映画ではあるが、前評判や多くの受賞など、評価が過剰な部分があり、期待して観たのでその失望感が個人的にはひどかった。


涙腺を刺激されるような王道なよさはもちろんあったんだけどね、最後に何がやりたかったのかも分かるのだが、しかしやはり50年前でも作れた映画だという気がしてならず、それならばチャップリンのサイレントでも見た方がよっぽど有意義な時間になったのではないかという考えを拭い切れなかった。

それにしても、過去の焼き直しを今さらやった映画が評価される理由がよくわからない。

この作品がアカデミー賞を取れた理由は単純で、決定権のある選考員が古くて頭が固いおじさん連中になっていて、現代を描いた作品よりも古きよきを思い出させてくれる作品の方が好まれることが想像できた。自分にとってはそんな典型的な一作でしかなかったのがちょっと残念な受賞作であった。

さらにタイトルもいかんね。なにがどういうところが「アーティスト」だったのか? 時代に翻弄される芸術に生きる人間を描きたかったという意味なのか? それにしてはなんだか陳腐なタイトルで、最後までよく意図が分からないこの後味の悪さ。個人的なことだが―、監督の趣味映画の枠を超えているとは思えないというのが正直な感想であった。

Kojiroh

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