『極道戦国志 不動』(1996年、日本)―6.5点。三池初期の異色のカルト映画


『極道戦国志 不動』(1996年、日本)―99min
監督:三池崇史
脚本:森岡利行
原作:谷村ひとし
出演:谷原章介・竹内力・高野挙磁・野本美穂・シーザー武志・新妻聡・峰岸徹etc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆/ 6.5点

Vシネながらもカンヌ映画祭への出展を果たした三池監督の国際的デビュー作。日本よりも海外で有名な映画で、タランティーノなどにも影響を与えたことはあまりにも有名。その三池の初期の代表作であり、最も彼のエッセンスが詰まっているといえるのが本作『不動』。

漫画のような展開であり実写にするのが非常に困難な原作であるが、三池崇史は本当に漫画のような作品を映画にするのが巧みな監督だと思えてしまうような一本だ。


あらすじは、
成績優秀な高校生を装いながら、裏では九州仁王会不動一家の若頭を務める不動力が、冷徹な頭脳と行動力を武器に九州極道社会に反乱を起こす…。

谷原章介、竹内力、峰岸徹ほか個性派俳優が共演していおり、今思うと豪華キャスト。

若き日の谷原章介の美少年ぷりがクールだ。
竹内力の貫禄もこのときから抜けているし、身長2mのレスラー高野挙磁の役どころも、もはやギャグなのだが突き抜けていて面白い。

小学生のヒットマンが多数いたり、高校のクラスメイトがみんなあまりにもプロの殺し屋すぎて笑える、そして笑えるほど極端な残酷バイオレンスなのだが、そうした無茶な設定に開き直っているところがなんだか逆に清々しくさえ思える。あり得ない話もこうした力ワザで強引に進めていけば、あまりグロテスクでもないし残酷でももはや笑える。


しかし監督独自の映像感覚もやはり異才を放っている。
ぶっぱなされたマシンガン、溢れかえる薬莢、流れる血、鍵をかけると爆発するバイクなどなど、三池流の演出がオンパレードである。

後に、『ホステル』のイーライロスに影響を与えることがよく伝わってくる映画だ。あまりにも爽快残酷に首チョンパされる「切り株」シーンや、切られた生首を子供たちがサッカーボール代わりにしている演出や、まあともかく残酷だが面白いシーンの数々だ。

本来は映画においてタブーとされているような、上記のような過度に残酷(というか下品すぎる類の―)倫理的に見てもやってはいけない表現を、見事にサラっといやらしくなくやってのけてしまったことが本作の最もスゴイ部分ではないだろうか。

あまりにも下品で残酷なのだが、それでいてシュールで滑稽で、ギャグともわからないようなギャグになっている。漫画のような表現を実写でやれてしまったのは監督の才能に他ならない。(好き嫌いは別として…)

Kojiroh

『極道戦国志 不動』(1996年、日本)―6.5点。三池初期の異色のカルト映画」への7件のフィードバック

  1. こんにちは ここまで残酷さをさらっと流して最初から最後まで 散りばめているのは異色としか言いようがないですね 商業的というより 趣味的に製作されてるのでしょうね・・・・

    1. コメントありがとうございます。今思うとなぜこれが制作できたのか不思議な異色作ですよね。まあVシネ全盛期でもあったので、その流れで制作できたんじゃないでしょうか。

  2. こんばんは キャストも割りといいですし
    今だと多分 制作できないでしょうね・・・・
    冒頭のガソリンスタンドで店員に化けた女子高生に飲まされたコーヒー
    飲んだやくざ 体中から血がどばどばと 一体何飲ませた??(笑)
    ですよね

    1. どうもです。あの冒頭のシーンには度肝を抜かれました。残酷やグロを通り越して爆笑したシーンですよね 笑 勇気ある演出がされていて、やはり名作なんでしょうね。そんなに好みではないですが。

  3. 最近DVD再販されたみたいです ツタヤなどにまた登場しました・・・
    2 3は駄作です監督も違いますので・・・・
    新鮮に楽しめる作品です あの全体を包む独特の雰囲気は不気味です
    あの高校には通いたくないです いつ巻き添えになるやら・・・・(笑)

    1. おや、そうだったんですか。良品発掘でしょうか。
      2~3は見る気になれないですねえ。三池だからこそなんで。

      しかしもはや漫画ですよねw

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