『パラノイドパーク』(2007年、アメリカ)―8.0点。エレファントの隠れ姉妹作


『パラノイドパーク』(2007年、アメリカ)―85min
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ガス・ヴァン・サント
撮影:クリストファー・ドイル 、レイン・キャシー・リー
編集:ガス・ヴァン・サント
出演:ゲイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、ジェイク・ミラーetc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

『エレファント』、『ラストデイズ』の系統を引き継ぐセリフが少なく映像で見せるアーティスティックな作品。カンヌ映画祭でも特別賞を受賞している異色な作品。


あらすじは、
スケボーに夢中の16歳の少年アレックスは、ある日、スケボー少年の聖地・パラノイドパークに向かった。しかし頭をよぎるのは家族の事や彼女のジェニファーの事ばかり。不良グループに声をかけられたアレックスは、スリルを味わうために貨物列車の飛び乗りに参加するが、ふとした事故を巻き起こし、不安に駆られながらも、何事もなかったかのように日常生活を送るが…。


クリストファー・ドイルによる撮影が、作品全体に透明感や独自の青さを醸し出す。
16歳の少年の不安定な心の移り変わりが寡黙に映像に投影される。幻想的なようで、確かな現実と向き合い苦悩する思春期の心が揺れ動く。


物語の進行は最初はベールに包まれていて、次第にアレックスの犯した罪が明らかになってゆく。『エレファント』の姉妹作のような要素があり、セリフは少なく、時系列を交錯させて物語を収束させる。

しかしガス監督本人がゲイであることを表明しているように、恐ろしいほどの少年への愛着、というより十台の少年の容姿と心について拘りが伺える。ピュアな少年のハートの1つを表した作品とも言えて、幼さゆえの正直さと残酷さが美しい映像と共に語られる。

ネタバレになるのであまり語らないが、貨物列車に乗り込んだ後、ガードマンの行く末の姿には衝撃的であった。残酷なようで夜の光に包まれた幻想的なシーンが忘れがたい。

そして最後は妙に呆気ないラスト。
エレファントと同じく極端に時間が短く、無駄がないようで、逆にこれだけの話をココまで長い映像で引っ張っても飽きなかったことの方が賞賛すべきことなのかもしれない。

罪を犯した人間に迫り来る懺悔の時間は、かくも長いものなのか。
なんとも言いにくいが、この映像感覚や世界観にぴしゃりとハマれるかが評価の別れどころかもしれない。

しかしこの話はホントに救いようがない。無垢な少年の残酷な運命には気の毒でしょうがない。だがかくして救いようがなく同情めいた気持ちになれることこそが、本作をより一層、美しい作品に思わせるのかもしれない。

kojiroh

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