『ゲーム』(1997年、アメリカ)―8.5点。資本主義社会の虚無への啓発


『ゲーム』(1997年、アメリカ)―128min
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ジョン・ブランカトー、マイケル・フェリス
出演者:マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー etc

【点数】 ★★★★★★★★☆ / 8.5点

フィンチャー監督の『セブン』や『ファイトクラブ』などの大傑作に隠れてあまり目立たないが、地味に面白いのがマイケル・ダグラス主演の『ゲーム』だと思う。

高校生の時に一度鑑賞したが、ふと思い立ってもう一度見てみたいと思ってレンタルビデオ屋に走った。そして見直すと、当時の若くて世間や社会のことに無知だった時代とはまた別の面白さがある映画だと気付く。


◎あらすじ
父の財産を引き継いだ実業家・ニコラスは、父親が自殺した年齢である48歳の誕生日を迎える。久しぶりに会った弟は誕生日プレゼントとして、「凄い体験ができる」とCRSという会社の紹介状を渡す。その後、たまたまCRS社のオフィスを見つけたニコラスは軽い気持ちでCRSの提供するゲームに参加することとなるのだが……
それから次々とニコラスの身の回りで不思議な出来事が起き始め、ニコラスは翻弄されてゆく。
(Wikiより引用)

フィンチャー特有の暗くてグレー基調のスタイリッシュな映像感覚。
そんな雰囲気の下、現代の自己啓発やNLPを提供するセミナーのような感覚で「ゲーム」が始まる展開が面白い。

「It’s The Game」
知的労働者が集まり働いている日常的な舞台が、突如として不可解なゲームと言う非日常的な場所へ誘われてゆき、その謎を解いてゆくサスペンス映画としても完成度の高く、こうしたCRSのような組織が実在しそうだと思える現実感がなんとも言えず良い。

チャイナタウンを駆け巡ったり、アメリカ社会への視点もなんだか興味深い。
ありきたりそうな設定の「危険なゲーム」映画であるが、それ全然陳腐ではなく、リアルタイムのアメリカ社会をしっかり反映しているような気がした。

主演のダグラスの渋い表情も『ウォール街』に通じるものがあるし、脇を固めている俳優人も一級だ。
ショーンペンもこのころはまだ若さが残っていて勢いがある。

しかし全般的に観ても、物質社会や資本主義社会への虚無的な幸福に対して否定的だ。フィンチャー監督の作品は、金や物質にまみれて大切なことを忘れて虚しさを覚えている人間をいつも危険な世界へ誘われる様を描いている。後の『ファイトクラブ』しかり。

欲しいもの、金で買えるものならなんでも手に入れた投資家を演じるマイケル・ダグラス。そのキャラクター像はどこか『ウォール街』のゴードン・ゲッコーを彷彿させる。

むしろ本作のダグラス演じるニコラスは、ゲッコーにインスパイアされて生まれたキャラクターでもあり、本作は『ウォール街』をモチーフにした続編的物語のようにも思えてくる。

強欲で勝ち続けてきた投資家の持つ虚無感や傲慢さを「ゲーム」によって目を覚まさせる。

時代背景的に観ても、富を得た強欲な人間の末路を皮肉っているように思える意義のある作品である。

さて結局は、何処までが「ゲーム」なのか。
その答えは、曖昧に幕を閉じる本作からはイマイチ解せない。
だがその後味の微妙な悪さがフィンチャー流で、鑑賞後にも頭に残るスパイスの一つなのだ。

kojiroh

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