『靖国』(2007年、日本=中国)―3.0点。話題性はあるが、デキの悪いドキュメンタリー


『靖国』(2007年、日本=中国)―123min
監督:李纓
撮影:李纓、堀田泰寛
編集:李纓、大重裕二
出演:刈谷直治、菅原龍憲、高金素梅etc

【点数】 ★★★☆☆☆☆☆☆☆/ 3.0点

靖国神社を取り上げた話題作『靖国』。
釜山国際映画祭で上映されたほか、2008年3月に開催された香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。戦後のセンシティブなテーマである靖国を、日本在住19年の中国人監督、李纓(リ・イン)が10年にわたって取材した渾身のドキュメンタリー。


一時期話題になっていたこともあり、テーマ性からも傑作の匂いを感じたので、この夏の終戦記念日に鑑賞に挑んでみるが…。

あらすじとしては、非常に曖昧であるが、
靖国刀(1933年から終戦まで日本刀鍛錬会によって靖国神社で作られていた軍刀)の最後の刀鍛冶職人を追う。それと共に、主に終戦の日を中心とした靖国神社の境内の映像が映し出されている。

さて、靖国刀というような普通の人は知らないような事実に迫っているようで興味深いが……だがあまりに手抜きで長回しが過剰かつ無意味、とにかくテーマ性は面白いが、まったく深い部分まで迫っていないドキュメンタリーだった。

靖国刀の歴史自体は面白いテーマだったが、しかし100人切りの話など、歴史的にそこまで意味話さない内容の気もして、さらに随所に挿入される刈谷さんとの話しも冗長すぎる。

そもそもこの中国人監督の日本語力にも問題があるだろう。


小泉総理、石原慎太郎都知事など、毎年の靖国参拝を追っていったのだろう。しかしそれにても10年かけたとは思えないほど表面的なことしか移されず中身がない。素人レベルで、ちょっとカメラ勉強した人ながら誰でも取れる水準だと思う。

とてもじゃないが、『ゆきゆきて神軍』などの深い緊張感で、写してはいけないものまで写そうとする汗が感じられない。

唯一いいのが、小泉総理の靖国参拝に賛同する日本の若者が、警備員に追い出される場面。これはなかなか迫力がある。

「中国人は帰れ!」と叫ぶおじさんの姿が印象的で、部分的にはいいシーンもある。

個人的に、彼がその後、どうなったか。
それを追って欲しかったのだが……。

他にも国旗をかかげるアメリカ人を追い払うなど、靖国内での外人の振る舞いなどを追ったことは興味深いが、しかし素人でも撮れてしまう程度の表面的なものでしかない。

基本的に、本作は靖国の表面を写して、その上で靖国の存在を戦争大罪だと見なしている。監督の意見はそうだ。

だが結局はそうした意見は一般論ではない。あくまで監督やその周りのごく一部の過激な人々の描写を抜き取っただけで、「反日」的なことを語るにしては説得力がなさ過ぎると思った。

そして最大の酷評要因は、このあまりに冗長な編集にある。
本作ほど表面上な内容と刀鍛冶インタービューだけの映画なら、一時間で十分すぎる内容だ。しかしそれをわけのわからない歴史映像と無駄な長回しであまりにも冗長でいい加減なものにしてしまった。

いい短編ドキュメンタリーには成り得たと思うが、商業的な話題性を求めた点も感じられる残念な長編ドキュメンタリー映画である。

koijroh

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