『ホステル』(2005年、アメリカ)―94min
監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス
製作総指揮:クエンティン・タランティーノ 他
出演者:ジェイ・ヘルナンデス、デレク・リチャードソン、エイゾール・グジョンソン etc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.5点
壮絶な残酷描写が話題を集めたクエンティン・タランティーノ製作総指揮による全米No.1ヒットのスプラッター。『キャビン・フィーバー』で認められた、ホラー映画の新鋭、イーライ・ロス監督が贈る渾身のカルト作と言えよう。
舞台は旅行者馴染みの「ホステル」。人身売買と拷問をテーマにした妙なリアリティが怖くて痛い一作。
◎あらすじ
バックパッカーをしながらヨーロッパ各地を旅行しているアメリカ人大学生パクストンとジョッシュ。道中出会ったアイスランド人オリーも加わり、刺激を求める3人の旅が続く。オランダのアムステルダムに滞在中、アレックスという若者から、スロバキアのブラティスラヴァに男たちの求める快楽をすべて提供する“ホステル”があるという情報を入手。さっそくそこへ向かった3人は、やがてそのホステルにたどり着くと、相部屋のナタリーアらに期待以上のおもてなしで迎えられ、夢心地のひとときを過ごすのだが……。
コアな映画ファンが作ったことが伺えるカルト映画。
前半の旅行者同士で和気藹々と女を捜してクラブでナンパしたりと馬鹿やったり、スロバキアでハーレム状態になる楽しそうな雰囲気が、途中の電車で出会った手が震える医者や、できすぎた展開で歓迎される美女二人など、最初から仕組まれていた伏線によって徐々に不気味なムードへ一気に引き釣り込む手法がとにかく怖い。
小道具も色々揃っていて、どうにもなりようがない拷問シーンの痛さと、そして救いようのない残酷を見せ付けられる。ドリルで削られたり、メスで削がれたり……とにかく説明するのが痛い。イメージしたくない痛みがある。
『ホステル』は現代の「悪魔のいけにえ」とも呼べるかもしれない。
資本主義が高度に発展した社会では、拷問・惨殺が快楽として売買される。犠牲になるバックパッカーの若者。迷信、都市伝説にもなりえる現代的リアリティがある。狂人による殺戮ではなく、ビジネスとしての殺戮に、資本主義の狂気を感じる。
また、三池崇史が本人役として登場しているシーンもマニアには嬉しい。彼に影響を受けているイーライ・ロスらしい演出がとにかくいい。分かる人には分かる。
スラムの子供たちが凶暴な殺人鬼と化すシーンなどは、まさに三池監督の『不動』のオマージュではないかとうかがえる。
前半後半の落差とキレのよさ、最後の疾走感とオチ付けまですべて、非常によくできたB級カルト映画だ。この一時間半の中でホラー&スプラッター映画のすべてをすっきり納めたような、それこそまさに一級のB級映画として完成していると思う。
ただ日本人出演者が微妙で、ジェニファー・リムという推定中国人女優であったり、まあ観れば見るほど色々と変な発見があったりするのだ。よく聞いてみると彼女たちが発する日本語はアクセントが少し変だったりもするが……。
ただ日本からアメリカ、ヨーロッパまで、文化的な交わりをホステルと惨殺を舞台に描ききったことは、グローバル社会と闇ビジネスを照らす上で、非常に興味深い一作であることは間違いない。
kojiroh
不気味さ重厚さ一級ですよね 拷問シーンもリアルで残酷でいい雰囲気でした
本当にこういうこと行われてそうですね
コメントどうもありがとうございます。
前半と後半の落差がとにかく怖いです。
伏線の出し方なども凝っていて、あと拷問シーンもできすぎで、うその物語とは思えないものがありますよね。