『Dolls』(2002年、日本) ―7.0点。四季の美と、鮮烈で残酷な愛物語


『Dolls』(2002年、日本) ―113min
監督:北野武
脚本:北野武
出演者:菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子etc

【点数】
★★★★★★★☆☆☆ / 7.0点

第59回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品作。
ロシアでロングランを記録したことでも国際的な評価の高い北野武のラブストーリー。菅野美穂や深田恭子が出演している豪華キャストによる異色の作品といえる。


◎あらすじ
松本と佐和子は結婚の約束を交わしていたが、社長令嬢との縁談が決まった松本が佐和子を捨てた。佐和子は自殺未遂の末、記憶喪失に陥る。挙式当日、そのことを知った松本は式場を抜け出し病院へと向かう…。年老いたヤクザの親分と、彼をひたすら待ち続けるひとりの女。事故で再起不能になった国民的アイドルと、彼女を慕い続ける盲目の孤独な青年。3つの究極の愛が、少しずつそれぞれの運命へと展開していく…。(All cinemaより引用)

日本の民族の根源的な人形劇をモチーフに物語は進んでゆく。ほとんど言葉による説明を省略し、映像で語る。残酷なほど寡黙な作品であり、極めて実験的な一作とも言える。三つのラブストーリーが交錯してゆき、そしてそれぞれの終わりを迎える。

正直言って、この豪華キャストを使ってよくこんな個人的な趣味や作家性を露骨にした作品を作ったものだと逆に感心。無心な人形のような表情を浮かべる菅野美穂の美しさはとにかく冴えている。日本の四季と美しい映像美や構造、アイディアには圧巻するが、まったく商業的ではなく、大丈夫なのか?と心配になるほど。

どれもこれも、残酷なほど純粋な愛の物語だ。

ストーリーなんてあるようでないほど単純なもの。心を失った人形のような佐和子との愛の終わり、アイドルオタクの純粋すぎる愛情、何年も男を待ち続ける女。それぞれの宿命が悲しい終わりを迎える。特に残酷なシーンなどはないが、本当に残酷な話だ。

セリフはほとんどなく、冗長すぎるようにも思えるが、ともかく心が無くなったような状態の男女ふたりがヒモに繋がって日本の四季を放浪するシーンなどは不自然であまりにも非現実的なのだが、美しい。色彩が鮮烈すぎる。「繋がり乞食」の映画。まさにシーンで見せて観客の目に焼き付けてくる。

だがある意味、ゴダール病。自分の世界に入りすぎたあまりにも娯楽性のない売れない芸術映画なので、もうこのキャスティングで実現不可能であろう。その意味で、本作には覆せない価値があるのかもしれない。

kojiroh

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