『母なる証明』(2009年、韓国)―8.0点。韓国ならではの母の愛


『母なる証明』(2009年、韓国)―129min
監督:ポン・ジュノ
脚本:パク・ウンギョ、ポン・ジュノ
出演者:キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

『殺人の追憶』や『グエムル』など、ヒットメーカーというだけでなく国際映画祭でも高い評価を得ている韓国のポン・ジュノの、カンヌのある視点部門にも出展した有名作。スターのウォンビンの兵役からの復帰作としても話題の一作。


◎あらすじ
トジュンは子どものような純粋無垢な心を持った青年。漢方薬店で働く母にとって、トジュンの存在は人生の全てであり、いつも悪友のジンテと遊んでいることで心配の絶えない毎日だった。そんなある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、容疑者としてトジュンが逮捕されてしまう。唯一の証拠はトジュンが持っていたゴルフボールが現場で発見されたこと。しかし事件解決を急ぐ警察は、強引な取り調べでトジュンの自白を引き出すことに成功する。息子の無実を確信する母は、ついに自ら真犯人を探すことを決意し行動を開始する母だったが…。(All cinemaより引用)


うっとおしいぐらい暑苦しく馬鹿げた息子への激しい愛。
犯人探しに奔走するキム・ヘジャの姿には、ぐいぐい引き込まれ、最後まで目が離せない緊張感があった。お母さんが探偵のままごとをしながら事件の核心に迫ってゆくハラハラ感は一級品だ。ゴルフクラブを探って家に潜入するシーンの何が起こるか分からない緊迫感や、観覧車での尋問シーンなど、殺人の追憶にも通じる迫力だ。

しかし韓国四天王といわれるウォンビンにしては、えらくドン臭い役回り。スターが演じる役ではない気がする、知的障害の殺人容疑者なんて。美少年ではあるが、その異様さと不気味な気持ち悪さは脳裏に焼きつくものがあって見事だったが。


貧しい家で育ちつつも旺盛な食欲と性欲。すぐ乱暴をふるったりキレやすい韓国人の姿をシリアスに描きつつも、何やら細かいとこでユーモアがあるのがポンジュノらしくて思わずニヤリ。アメリカに影響を受けて海外ドラマの捜査プロファイリングに影響を受けるジンテや、針治療を闇でやってしのぎを削りつつ犯人探しに奔走する展開は意表を突かれる設定でもあり、サスペンスとしても秀逸で、最後には予想だにしない結末へ向かうことになる。

母なる証明――それは罪に生きる人間への許しを司る包容力なのか。どんな罪を犯したとしても、母であれば子を守る。どんな罪を犯してでも。

特に近親相姦などが多い韓国ならではの、あまりにも距離が近い親と子の愛情が、グロテスクなようにも、ユーモラスにも写って見える部分が非常に興味深い。あとキレやすく、若年層の売春やセックスを象徴するかのような殺人事件。とにかくいびつだ。

だが人間社会の普遍的な母の愛が、韓国社会でいびつな形で変容した、非常に興味深いテーマの一作であった。そして人は罪を背負って生きてゆく。そして悪い記憶を忘れて、誤魔化して、人は生きるのだ。

それにしてもラスト・タンゴとも言えるバスの中で踊り続ける母親の姿と夕陽に照らされた奇妙なダンスが、鑑賞後の今なお忘れられない。

kojiroh

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