『REC3/genesis』(2012年、スペイン)―7.5点。期待を盛大に裏切ったクソ映画版『REC』


『REC3/genesis』(2012年、スペイン)―80min
監督:パコ・プラサ
脚本:パコ・プラサ、ルイソ・ベルデホ
出演:ディエゴ・マルティム、レティシア・ドレラ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

POVゾンビ映画で旋風を巻き起こしたスペインの『REC』シリーズの最新作。
RECファンである筆者は劇場で見逃した本作を、早速新作レンタルで鑑賞した。

前作からの共同監督であるジャウマ・バラゲロが抜けて、パコ単独監督になってしまったので劣化しているのではないかと不安を感じていたが……、感想は一言、盛大に笑った。

●あらすじ
晴れて挙式の日を迎えたコルドとクララは幸せの絶頂にいた。しかし、感染すると人を襲う謎の伝染病に侵された新郎の叔父が発病し、披露宴の出席者を襲い始める。混乱のなか離ればなれになってしまった2人は、それぞれ愛する人と再会するため、感染し変わり果てた友人や親族に立ち向かうが……。<映画.comより引用>

単刀直入にいうと、すっげーくだらない!www
今までのシリアス前面で押していたRECシリーズは何だったの?w と突っ込みたくなるほど、本作はかなりやりたい放題。意表を突くというか裏切られた気分になるが、POVの制約を破って退けるという、もはや何が「REC」なの?(爆

冒頭から始まるRECの手法、POV。ああ、いつものRECだと思った。
FILMAXのカメラマンがいたり、結婚式風のお祝い映像が流れたり、なんだか微笑ましい気分にさせられ、この幸せな光景がどう破壊されるか、徐々に立つフラグにワクワクしつつも、見事に裏切られた。

とは言っても、その期待の裏切りっぷりが徹底していて面白い。
中途半端な裏切りではないのでむしろ従来のファンとしては楽しめた。1作、2作がデキがよかったので、3作目はどうなるかと思ったら、変則球をかましてきたという印象。一本取られましたという感じ。

パコ・プラザ監督は、RECのB級ゾンビ要素をほとんど担っていたのかもしれない。過去のゾンビ名作へのオマージュがひしひしと感じられる。


イヌにかまれた叔父、じわじわ立つ警報フラグ。幸せな披露宴が、瞬時にして殺戮の現場へと変貌する、この落差はお見事。

POV形式を盛大に破壊してのけたREC3であるが、そのヴィジュアルインパクトは素晴らしい。真っ白なウェディングドレスがどんどん血で染まる。最後は花嫁チェーンソーへ!

「私の日よ!!」
いやー、くだらない。「なんで逃げないで立ち向かっちゃうの?笑」と突っ込みどころ満載。超B級ゾンビ映画なんだが最高。『ブレインデッド』のパロディ? 『プラネットテラー』の片足マシンガンの女主人公に匹敵するインパクトがある。白人のスペイン美女がそんなめちゃくちゃなことになるとは、うーむ、上質なゾンビ映画だったREC1・2が、3で、B級クソゾンビ映画になった。なんとも微笑ましいじゃないか。

そしてサバイバルゾンビ映画としてはよくできた一本だと思う。最初のシーンの伏線が後になって繋がったり、ゲーム的な楽しさとハラハラ感があるのだ。

ゾンビ化した人々のグロテスクさは、POVを解除している本作ではインパクトが強い。

親友、母親がゾンビ化してゆき死んでゆく様は残酷なようで、あっけなくて笑えるB級さがある。

ただオカルト色が強く、感染というよりも悪魔な存在のゾンビになり過ぎたところが個人的には少し残念。

でもとりあえず真面目路線のRECシリーズでこんな盛大に笑えるとは思わなかった。RECの新領域を見出せた気がする。いつものごとく80分の尺で簡潔に見せる点が爽快だ。

やはり筆者は「REC」ファンなので、普通なら7点B級映画だが、前作から引き継ぐ世界観を体感できたことで、+0.5点おまけして評価したくなるのが心情でした。

*現在製作中の「REC4」でシリーズ完結するそうなので、最後にどういう裏切り方をするか、目が離せないシリーズです。

kojiroh

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