『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年、アメリカ)―85点。実録・銃社会アメリカのブラックコメディ


『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年、アメリカ)―120min
監督:マイケル・ムーア
製作:チャールズ・ビショップ etc
脚本:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア、チャールトン・ヘストン、マリリン・マンソン、マット・ストーン、ジョージ・W・ブッシュ etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

カンヌ映画祭に出品されて大きな反響を読び特別賞を受賞した作品。アカデミー賞でもドキュメンタリー部門を受賞。アメリカの現体制を徹底的に皮肉る、世界的にもムーアの存在を広めた代表作が、『ボーリングフォーコロンバイン』。


◎あらすじ
1999年4月20日、アメリカ・コロラド州の小さな町リトルトン。2人の少年は朝の6時からボウリングに興じていた。いつもと変わらぬ1日の始まり…のはずが、この後2人の少年は銃を手に彼らの通う学校、コロンバイン高校へと向かった。そして、手にしていた銃を乱射、12人の生徒と1人の教師を射殺し23人を負傷させた後、自殺した。マイケル・ムーアは問う、“なぜアメリカはこんなにも銃犯罪が多いのか”と。その疑問を解消するため、マイケル・ムーアはカメラとマイクを手に様々なところへアポなし突撃取材を始める……。<Allcinemaより引用>

コロンバイン銃乱射事件に迫るドキュメンタリー、と思わせつつ、実は病んだアメリカ社会の本質に迫ろうとする映画。


主張の的確性もともかく、とにかく行動派ジャーナリストであるマイケル・ムーアのパワフルな躍動が面白おかしい。動いて動いて動き回り、皮肉るブラックユーモア満載だ。

銃社会アメリカとカナダの「鍵をかけない」社会との対比で、アメリカがいかに臆病で、個人と個人の繋がりが軽薄であるかを訴えかけ、白人支配の歴史をも振り返る。ショッキングな事件を題材にして、色々な社会の暗部をえぐる手法は見事だと思った。(*一部、極端すぎて鵜呑みにしてしまいそうなこともあるが…)

特に素晴らしいのが、マリリン・マンソンのマスコミと社会を批判するインタビューであろう。
……Children Turn in the little Monster
……Who is the brain?(子供に害を及ぼす中核にあるのは何か?)

-Heavey Metal
-Video game
-Society
-Parents
-Marilyn Manson、-Marilyn Manson、-Marilyn Manson、-Marilyn Manson、-Marilyn Manson、-Marilyn Manson


そう、事の発端はコロンバイン事件の主犯である2人がマンソンの音楽を好んで聴いていたことから始まる。

マンソンの反社会的なメッセージが彼らを衝動に突き動かしたのではないか? そしてマンソンはメディアや政治家に叩かれた。「マンソンの音楽は反社会的で子供に害を与えている」と、政治家がマンソンを批判する演説をする。

「事件と俺が無関係だとは思わない。
でも、メディアが俺を敵にするのは、それが簡単だからだ」

<デブだと女とヤレないからダイエット薬を買え>のように、コマーシャルは人々の不安を刺激してモノを売っている。

不安、弱い部分を刺激することで、商業社会が成り立っている本質をクールにざくざく切り込んでゆく最高のインタビューだ。BGMで流れる”FIGHT SONG”がまさにクールな社会風刺。

銃社会と自由。すべては臆病者の馬鹿なアメリカ人がすがる愚かな道具だ!と最後までメッセージ性がある。銃教会の会長には会えず、結局のところ何も本質的な解決になっていないが、ここまでの過程をマンソンも交えてフィルムに焼き付けたことには意義を感じる。

極端すぎてすべてを信じると危ないドキュメンタリーではあると思うが、重苦しいテーマをムーアのユーモアと、ポップなテイストでアニメを挿入したり様々な技巧を駆使して編集して作り上げた本作は、ドキュメンタリー映画史の中でも語り継がれる名作であろう。

kojiroh

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