『ドライヴ』(2011年、アメリカ)―7.0点。ハードボイルド・ドライブ映画


『ドライブ』(2011年、アメリカ)―100min
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ホセイン・アミニ
原作:ジェイムス・サリス
出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、アルバート・ブルックス、オスカー・アイザック、クリスティーナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

カンヌ映画祭監督賞受賞。その他、数多くの国際映画祭で受賞を成した傑作と名高く、スタイリッシュなセンス映画と好評の『DRIVE』。筆者は劇場で見そびれたので新作レンタルにて鑑賞。

ずばり、ほんとにセンス映画。これに尽きる。

◎あらすじ
自動車修理工場で働く孤独で寡黙なその男は、卓越したドライビング・テクニックを買われ、映画のカースタントマンとして活躍する一方、夜には強盗の逃走を手助けする闇の仕事も請け負っていた。そんなある日、同じアパートに暮らす人妻アイリーンとエレベーターで遭遇し、一目で恋に落ちる。次第に距離を縮めていく2人。彼女の夫スタンダードは服役中で、今は幼い息子との2人暮らし。ほどなくスタンダードが出所してくるが、彼は服役中に多額の借金を背負ってしまい、強盗を強要されていた。男は妻子のためにスタンダードの強盗計画のアシストを引き受けることにするのだが…。<Allcinema>

ヴィジュアルイメージ、テクノ音楽、そして犯罪とドライブ。
うーん、カッコイイ。男の美学満載のハードボイルド小説のような美学をセンスよく描く、なんというかファッションショーのような映画だ。主人公のさそりのジャケットもパンチが効いている。『タクシードライバー』のトラビスのようなカリスマを目指しているようにも思えてくる。

ライアン・ゴズリングの寡黙さと無表情さ、そして無敵さには熱狂したくなるヒーロー像がある。

ドライバー用のマスクを被り、敵陣で単独で乗り込んでゆくシーンなんかは、過去の名作映画の模倣のようにも思えつつ、サソリの後ろ姿でエレクロ・ミュージックで迫るとこなんかはあまりにもクールだ。

ぶっちゃけ筆者はカーアクション系な映画は興味ないのだが、後半の畳み掛けて突き刺さるようなストーリーの動き方はシビれました。

切なく流れてクライマックスを盛り上げる叙情性など、胸に染みる。

エレベーターの中での一瞬が永遠のように思える。
女っけは排除して、余分な贅肉を搾り取ったハードボイルドな一作、と絶賛される所以もよくわかる。だが個人的には前半部分の遊びが多すぎる気がするのと、なーんか腑に落ちない結末にちょっと「?」が残った次第。ネタバレになるので深くは言及しないが、なんで最後に部下も手下も連れず、一人でラスボスのような彼が刺したのだろうか?……まあその余韻が文学作品なのだろうか。

まあ前半60点、後半85点、73点ぐらいの映画でしょうかね。
とにかく物語は面白いので、原作も読んで見たくなりましたと。

てか余談ながら、なーんか見覚えのある渋い俳優がいるなと思ったら、『タクシードライバー』のアルバートブルックスが出演してたのか!と鑑賞後興奮。彼の悪役っぷりがなかなか本作を盛り上げていたと思います。しかし本作はやはり『タクシードライバー』の模倣的な一作だったなと今でも思う。孤独な主人公と、守りたいものができ、単独で敵陣へ。そしてドライブする左座席、ハンドルを回す。うーん、トラビス・ビックル的だ。

とにかく、孤独な天才ドライバーの生きる道と、監督のその表現のセンスには一見の価値あるハードボイルド映画であった。

kojiroh

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