『MAD探偵 7人の容疑者』(2007年、香港)―8.0点。


『MAD探偵 7人の容疑者』(2007年、香港)―89min
監督:ジョニー・トー、ワイ・カーファイ
脚本:アウ・キンイー、ワイ・カーファイ
出演:ラウ・チンワン、ラム・カートン、ケリー・リン、アンディ・オン etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

原題は、『神探』。
ジョニートー監督の隠れた名作と名高い『MAD探偵――』
日本公開はなんと2011年と非常に遅れていたが、第64回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門ではサプライズフィルムとして上映され、カルト的な一作と評判もいいので筆者はレンタルで鑑賞した。

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●あらすじ
西九龍署・刑事課へ配属された新人のホー刑事は、奇抜な捜査で難事件を解決する先輩刑事のバンと出会う。彼は、自らを殺人現場と同じ状況に置くことで真犯人を突き止める特殊な能力を持っていた。しかし、それは精神を病んでいるようにも思われ、その数々の常軌を逸した行動が原因でクビになってしまう。それから5年後。バンのもとをホー刑事が訪ね、1年半前に失踪したウォン刑事の拳銃が使われた連続殺人事件の捜査協力を依頼する。さっそくホーと共に捜査に乗り出したバンは、ウォン刑事の相棒だったコウ刑事に疑いの目を向ける。ほどなく、バンにはコウの中に7人の異なる人格が宿っているさまが見え始めるが…。

冒頭からテンションマックスでの豚斬り。わけのわからないきちがいじみた捜査方法で事件の謎を暴く。
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スーツケースで自ら落ちてゆく場面など、謎であったが次第の彼の持つ特殊能力が明らかになる。この観客を惑わしつつも次第にバンの謎を晒してゆく手法が面白い。霊的存在を霊的ではなく、普通の人格を持つ人間として描いている点が、独特の世界観であり、時間がたつと共にばしっとハマる。

常連のラムカートンからラムシューまで脇役もトー・ファミリー。しかし彼の作品の中では郡を抜いて異色な作風であろう。彼の作品の中で最も優れて強烈なキャラクター造詣が、このバン刑事であろう。
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とにかくゴッホのような天才刑事を香港を舞台に描いたことが素晴らしく斬新で、今まで見たことのない刑事サスペンス映画であった。仏教観念的なスピリチュアルな世界と作家のような刑事、それを狂気的に演じたラウ・チンワンがすごい。

特に中華料理屋でフカヒレと米を何度も何度も食べ続けるシーンは、トー監督特有の秀逸な食事シーンと、『エレクション』でレンゲを食べるような狂気を感じる、本作の中で最も忘れられないワンシーンだった。

事件の謎以上に、彼自身に対する謎も散りばめられ、最後には輪廻転生を繰り返すようなThe endだ。

そんなわけで『MAD-』は、前半の引き込みから中盤にかけてはかなり素晴らしいと思った。スピード感もあり事件解決方法の目新しさなどに惹きつけられる。

が、ジョニートー監督のいつもながらの後半の失速というか葛藤や心のもやもやでぐだぐだするところがちょっと蛇足であった気がする。終わり方は個人的にかなり好きであるが、いつものごとく銃撃戦で人が最後までしななすぎでリアリティがない……まあそれが香港映画らしいけれども。

最後の鏡の中の対峙はトリッキーだが人間の内面をあばくモチーフとして描かれているようだ。
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てわけで前半9点、後半6.5点、ラウチンワンのMAD探偵の新しさに+0.5点っていう映画でした。

しかしインド人も登場するなど、香港が舞台ならではの映画なのだろう。香港びいきの筆者はこの世界観が非常に好きでした。

kojiroh

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