『春夏秋冬、そして春 』(2003年、韓国)―8.0点。韓国の美しき四季、そして人間


『春夏秋冬、そして春 』(2003年、韓国)―89min
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
編集:キム・ギドク
出演:オ・ヨンス、キム・ジョンホ、キム・ヨンミン、キム・ギドク etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

韓国の鬼才、キム・ギドクの『サマリア』『うつせみ』に並び最高傑作と称される一作。アメリカでもヒットし、IMDBでも最も評価の高い一作。ドイツなどの出資もあり、国際的な評価を確固なるものにした一作。

低予算な映画なようで、寡黙ながらも巧みな構成と斬新なアイディアに溢れた演出と映像美には引き寄せられた。

●あらすじ
春-深い山あいの湖に浮かぶ寺で、老僧と幼い見習い僧が暮らしている。幼子はふといたずら心で、小さな動物の命を殺めてしまう…。夏-子どもは青年になっている。そこへ同年代の女性が養生のためにやって来て、寺に暮らすことに。青年の心に欲望、そして執着が生まれる。秋-寺を出た青年が十数年ぶりに帰ってくる。自分を裏切った妻への怒り。老僧は男を受け入れ、荒ぶる心を静めるようにさとす。冬-湖面を氷が覆う。壮年となった男の前に、赤子を背負った女が現れる。そして春…。<Goo映画より引用>

とにかく単純なセットで舞台劇のようなシンプルな構成と構図、寓話的な一作であるが、韓国の四季を最大限に引き立てた映像美が圧倒的だ。

セリフはほとんどないが、こどもの邪気のない笑い声と、邪気がないからこその残酷さを伴う遊びのシーンが面白い。もはやアート。『ミツバチのささやき』、『青いパパイヤ~』にも並ぶ、美しき幼さがここにはある。
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湖の真ん中にうかぶお寺。
手漕ぎのボート。何十年立っても駆らぬ自然界の幽玄さがある。
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さて、本作ではこのお寺がなんであるか、なぜ彼らがここで二人で暮らしているのか、まったく明らかにはされない。だがその無駄な説明を省き、余分な肉がなくなった簡潔さにこそ、芸術性がある。

それにしても映像で見せる映画なのだが、セリフがなくても見るに飽きない。それほどまでにアイディアを凝らせた独創的なシーンの連続なのだ。

僕が忘れられないシーンは、「閉」を顔に貼り付けて燃え上がる和尚。
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不気味で意味不明なのだが、この映像が頭から離れなくなる。
漢字が分かる国の人ならこのシーンの狂気と、それが持つ深い意味に震え上がりそう。
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猫の尻尾で習字をする場面、文字を彫り続けるシーン、美しいだけでなく独創的で寡黙ながらも退屈させない。

他にも蛇や蛙、魚などを使った動物の描写や、岩場での少女とのセックスの生々しさには驚いた。露骨であるが、結局は人間も性に目覚め、動物的な本能や欲望が燃え上がる。そして自滅する。自然の摂理、人間界の摂理が短時間に駆け巡る。

わずか1時間半、
40年にも及ぶであろう歳月が春夏秋冬に込められ、輪廻転生する。この世は常に修行なのだといわんばかりに、軍隊時代に鍛え上げた肉体を真冬に披露するキムギドクの演技が素晴らしい。そしてエンディングに流れる「アリラン」。

そして、最後は自らが石を体に巻きつけて走り出す。

自作自演・編集から美術撮影まで、とにかくキムギドクの才気が最も集約された最高傑作かもしれない。韓国随一の天才映像作家であることは疑いようがないことを立証できる一作だった。

kojiroh

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