『L.A.コンフィデンシャル』(1997年、アメリカ)―8.0点 エルロイ流・闇社会、傑作サスペンス映画


『L.A.コンフィデンシャル』(1997年、アメリカ)―138min
監督:カーティス・ハンソン
脚本:カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド
原作:ジェイムズ・エルロイ
出演:ケヴィン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ジェームズ・クロムウェル、キム・ベイシンガー、デヴィッド・ストラザーン etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

ツタヤの良品発掘コーナーにさりげなく置かれていて手にした一作。

アメリカ文学界の狂犬・ジェームズエルロイ原作の傑作を映画化し、第64回ニューヨーク映画批評家協会賞ならびに第23回ロサンゼルス映画批評家協会賞で作品賞を受賞。さらにアカデミー賞も9部門ノミネートした佳作と誉れ高い。

●あらすじ
縄張り争いが激化する’50年代のロス。街のコーヒーショップで元刑事を含む6人の男女が惨殺される事件が発生した。殺された刑事の相棒だったバド(ラッセル・クロウ)が捜査を開始。殺された女と一緒にいたブロンド美人リン(キム・ベイシンガー)に接近する。彼女はスターに似た女を集めた高級娼婦組織の一員。同じ頃、その組織をベテラン刑事のジャック(ケビン・スペイシー)が追っていた。野心家の若手刑事エドも事件を追い、容疑者を射殺。事件は解決したかに見えたが…。<Allcinema>

男臭い暗黒映画。
出世や過去へのジレンマに取り付かれつつも、大きな事件に直面する3人の癖のある刑事。ラッセル・クロウ、ガイ・ピアーズ、ケヴィンスペイシー。2013-01-13_120319
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2013-01-13_120400彼らの個性が前面に衝突しつつも闇の権力や、謎の娼婦が登場する、まさにエルロイ的世界観。見事に再現されているように思える。

特にガイ・ピアーズの若くて生意気な、どこかルサンチマンがあるような、出世欲が強く、従来の正義感という概念を排除し、全員それなりに悪党である警察の舞台裏がエルロイらしくて面白いのだ。何気ない事件から次第に明らかになる巨大な権力。ファンとしてはたまらない。

妖艶な演技で魅せるキム・ベイシンガー。
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私利私欲に満ちた汚い権力者と、巧みにちりばめられた伏線。シーンやセリフも多く、ずばずばと端的に物語が進む。2時間弱の長さを全く感じさせないストーリーの飛躍感がたまらない。その作風はエルロイなのだが、エルロイほど暗黒ではなく、一般受けしやすくなっていると思う。50年代の裏社会の深さを垣間見える脚本・脚色が見事なだけではなく、配役も絶妙だ。

音楽にも力がある。陽気なLAの50年代風の音楽が流れたかと思いきや、暗黒街の緊張感のある楽曲へと切り替わったり、サスペンス映画としての緊張感が全編に溢れている。

キャスト・脚本・監督・音楽、さらには美術。全般的にすごく完成度が高い、近年のアメリカサスペンスの傑作であることは疑いようがない。

エルロイの世界をうまく一般受けするサスペンス映画化したといえよう。

kojiroh

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