『運動靴と赤い金魚』(1997年、イラン)―7.5点。笑いあり涙あり、イラン庶民の生活


『運動靴と赤い金魚』(1997年、イラン)―88min
監督:マジッド・マジディ
脚本:マジッド・マジディ
出演:ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ、アミル・ナージ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

イラン映画の存在感を世界に知らしめた代表的な一作と名高い、『運動靴と赤い金魚』。モントリオール世界映画祭でグランプリを含む4部門を受賞、第71回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。ツタヤの良品発掘でも取り上げられていたのでレンタル鑑賞。

イランの庶民の貧しさと貴高い暖かさを感じる、なんというかハートウォーミングな物語。

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●あらすじ
少年アリは修理してもらったばかりの、妹ザーラの靴を買い物の途中でうっかり失くしてしまう。親にも言えず、兄の靴一足しかない兄妹は、それを共有することに。妹がまずアリの運動靴を履いて登校。下校途中で待ちあわせて、今度はアリが履いて登校するという具合。そんなある日、小学生のマラソン大会が行われることに。3等の賞品はなんと運動靴。アリは妹のために3等になろうと必死に走るのだった……。
<allcinema>

イランという国の理解を深められる映画。
なんというか、あらゆる部分で感情が揺さぶられた。
繊細な映像で庶民の貧しくも勤勉に勉強したり、新しい仕事に挑んで働いたり、ともかく頑張って奮起しようとする描写が多く、見ていて応援したくなる。

とにかく、兄弟ともによく走った。無垢な表情で一生懸命走る姿には胸を打たれる。
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学校で先生に向かって手を上げて質問したり、謝ったり、肌の色が黒く大きな目。日本人とはまるで違うが、その真面目さや一生懸命さはイラン人の本質であり、日本にも通じる部分があるのかもしれない。

兄弟愛の普遍的な形をまさかイラン映画が示すとは。
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靴音がなんだか忘れられないほど繊細だった。
運動靴をここまでうまくモチーフにできるとは。

時代はよくわからないが、近代とは思えぬ貧しさというか資本主義化していない未開の地ならではなの優しさが残っている。アラブの国でインドっぽいがやはり違う。そこまで饒舌でもなく、意外に真面目で勤勉な国民たちなのかなと思わされる。

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マラソン大会。
芝刈りの新規の仕事を求め自転車で駆け回ったり。とにかく、本作のイラン人の一生懸命さは笑えるし泣けた。貧しくも頑張っている人々の姿というのは国境を越え、無条件で胸に響くもんだ。

本作の普遍性と、イラン映画の質の高さを示した、非常に重要なイラン映画として歴史に刻まれている映画であることが十分、納得できた。

だが本作のタイトルがちょっと微妙だったように思える。
運動靴の物語であり、赤い金魚はさしたるモチーフでもなければ、どういう関連性があったのか、未だによく分からなく、「?」が残ったところ。

kojiroh

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