『マイレージマイライフ』(2009年、アメリカ)―8.0点 ノマド的ハリウッド映画


『マイレージマイライフ』(2009年、アメリカ)―108min
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ジェイソン・ライトマン、シェルドン・ターナー
原作:ウォルター・カーン
出演:ジョージ・クルーニー, ヴェラ・ファーミガ, ジェイソン・ベイトマン, エイミー・モートン, サム・エリオット etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

Up in the air。
マイレージマイライフ。なんとも響きのいいタイトル。
「JUNO/ジュノ」のジェイソン・ライトマン監督がウォルター・カーンの同名小説を映画化、現代人を取り巻く様々な問題を描き出す、アカデミー賞に6部門ノミネートされた傑作だと口コミでも評判がいいので、友人に奨められたこともあり、筆者はレンタル屋で手に取った。

所感は、もっと早く観ておけばよかった。
実に現代的で、風刺的でもあり、2010年あたりの時代背景をうまく映し出す現代ドラマだと感心した。
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●あらすじ
業のリストラ対象者に解雇を通告する“リストラ宣告人”の仕事で年間322日間も出張しているライアン・ビンガム。自らの講演でも謳っている“バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない”をモットーに人間関係も仕事もあっさりと淡泊にこなし、結婚願望も持たず家族とも距離を置いたまま、ただマイレージを1000万マイル貯めることが目下の人生目標となっていた。だがそんな彼も、2人の女性と出会ったことで人生の転機が訪れる…。
<allcinema>

なんとうか、典型的なハリウッド映画だ。
新しい出会いによって、自らのアイデンティティを再構築するかのように、それぞれが価値観を変え、成長してゆく。
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ベタであるが、よくできていると思う。

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冒頭からザック・ガリフィアナキスの脇役が笑いを誘う。
クビを宣告するだけの仕事、何気ないごく普通の出張シーンをああもカッコいいように描けるとは、やり過ぎでありコメディである。人間ドラマでもあり、秀逸なコメディ映画だと筆者は思った。

テンポよくノマドる彼らに圧倒されて、突っ込みどころは多いが、見てるときはあんまり矛盾に気付かなかった。とにかくよくできた映画だ。
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アバンチュールを楽しむ。ヴェラ・ファーミガも金髪で美しい。現代風の遊びも仕事もできるキャリアウーマン像であるかのように。

馬鹿馬鹿しいが、二人でパソコン開くシーンとか、カードを見せびらかすジョージクルーニーとの絡みが面白い。

現代的な不安や孤独を自由なノマドワーカーで突っ切ろうとする姿勢が妙にスタイリッシュなのだ。ジャック・アタリの超ノマドにぴったり当てはまるような、アメリカン・ノマドの1つの例を具現化したかのようである。

しかしそんなネットワーク社会の無限に広がるように思えた可能性が、実は有限で、人間の幸福というのは自由なだけでは満たされないという根本的な問題を問い直す。

ネット社会と人間の自由について問い直すような、テーマ的にも21世紀的で、この時代を生きる上で重要な一本なのではないかと思った。

kojiroh

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