『アジョシ』(2010年、韓国)―119min
監督:イ・ジョンボム
脚本:イ・ジョンボム
出演者:ウォンビン、キム・セロン、キム・ヒウォン、キム・ソンオ etc
【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.5点
『母なる証明』に次ぐ、ウォンビンの復帰作第二段。
韓国ではその年のNo.1ヒットを記録し、大鐘賞で主演男優賞を獲得したアクション映画。
不幸な少女を助けるために、わけありの強いおじさん(アジョシ)が立ち上がる…。
●あらすじ
街の片隅で質屋を営み、人目を避けてひっそりと生きる孤独な男テシク。ところが隣の少女ソミは、そんなテシクを慕い、何かと店に入り浸っていた。迷惑がりながらも、クラブダンサーの母親に構ってもらえず孤独なソミを不憫に思い、冷たく突き放すことができないテシク。ある日、ソミの母親が犯罪組織から麻薬を盗み出したばかりに、母子は組織に狙われることに。組織の男たちは母親が預けたカバンを取り戻そうと質屋にやって来るが、テシクは驚異的な身のこなしで反撃する…。
<Allcinema>
とりあえずウォン・ビンはカッコイイし、最高にクールな映画だ。
韓国版、いや、ウォンビン版『レオン』というデキ。
中年と幼い子供という組み合わせがなんともベタなようで、意外と目新しい韓国エンターテイメントに移った。臓器売買の密輸と児童の人身売買。テーマとしても、マフィア映画としても楽しめる。
なにより最初から最後までとにかくハードボイルド。激しいカットとスピーディーな展開。近年の映画で比較すると『ドライブ』に負けぬ男の美学が満載である。
前半のスピード感・疾走間はとにかく圧巻だった。
カット割りもかなり早く、登場人物も多く、力技で一気に引き込まれた。
「アジョシー、アジョシー」と叫ぶキム・セロン。
けっして、ナタリーポートマンのような美女ではない。キレイとは言えないが、愛くるしさがあり、なんだか可愛い。韓国の幼い女の顔つきの本質を感じる。
悪役もなかなか悪くて見応えあった。無駄に強いベトナム人がいたりと、雑魚からラスボスまで、そのへんはベタなアクション映画のフォーマットを辿っている。
さらには「アジョシ」=おじさん、という意味も理解でき、韓国理解が深まる映画でもあった。
とにかく、復帰したスター、ウォンビンのために作られたような映画でありつつも、韓国エンタメ映画としてもよくできた一作だと思った。
ま、この手のスピーディーな物語のわりには少し長くて、後半は失速感があり、くどい節もあった。がしかし、2部構成のような、ウォンビンが髪を切ってまで挑んだ痛快アクションのかっこよさに+0.5点ってとこ。
個人的にはウォンビンは髪が長めの方がクールだと思った上に、前半のスピード感がよかったので、ちょいおしい映画だったなと。
kojiroh