『ヒトラーの贋札』(2007年、ドイツ)―85点。贋札師ゾロヴィッチの陰謀ドキュメンタリー


『ヒトラーの贋札』(2007年、ドイツ)―96min
監督:シュテファン・ルツォヴィツキー
脚本:シュテファン・ルツォヴィツキー
原作:アドルフ・ブルガー『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』
出演:カール・マルコヴィックス、アウグスト・ディール、デーフィト・シュトリーゾフ、アウグスト・ツィルナー、マルティン・ブラムバッハ etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

第80回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞し、話題になったドイツ映画。
劇場公開同時から見たい見たいと思っていた一作であったが、すっかり忘れていた。すっかり過去の一作になっていたが、ふとレンタル屋でぶらぶらしていて目に留まり、レンタルして念願の鑑賞したのが最近。

ずばり所感、公開当時に劇場で見ておく価値が十分にある一作だった。
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◎あらすじ
第二次世界大戦の最中、ナチスはイギリスの経済を混乱に陥れるため精巧な贋ポンド札の製造を計画する。この“ベルンハルト作戦”のため、ザクセンハウゼン強制収容所には、世界的贋作師サリー、印刷技師ブルガー、美校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たちが集められた。収容所内に設けられた秘密の工場で、ユダヤ人でありながら破格の待遇を受け、完璧な贋ポンド札作りに従事することになったサリーたち。しかし彼らは、自らの延命と引き替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく。
<allcinema>

とにかく、早い。ぶれるカメラでドキュメンタリーをみるかのような形式で作られた、実話をベースにした一作。そのベルンハルト作戦という陰謀を知らなかった筆者は、その目新しさが非常に斬新で面白かった。

とにかく、スピード感がすごい。呆気ないほど出来事を省略し、面白いエピソードしか切り取らずに、どんどん物語を進めてゆく。1時間半ほどしかボリュームがないのであっという間にゾロヴィッチの数年間が過ぎてゆく。

天才偽札師ゾロヴィッチを演じるカール・マルコヴィックス
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逮捕されてから収監され、偽札を作り始めるその過程がまず面白かった。
貧しい食事と規律が厳しい収容所での生活が、あまりに過酷で残酷。
波乱万丈な人生が、巨大な陰謀の下で揺れる。
極寒のドイツ収容所での独裁的な刑務所生活をリアルに描いたこと自体がそもそも本作の1つの意義かもしれない。

偽札製造シーンも面白い。偽ポンドを量産しようとする過程などはかなり迫力があった。威圧的な将校とのかけひきも、本作の原作者であるブルガーも。
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サボタージュ。ドイツ語で飛び交う言葉がとにかく迫力あり。

彼を捕まえ、導くヘルツォーク。
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饒舌で比較的柔軟な考えを持ち、最後で敗戦への狡猾な逃避を目論ろもうとするその少佐の立ち居地がいい。

主演、助演もそろっていて、どこか皮肉なブラックジョークを感じる作風(特にオチ)もいい。全般的に、ドキュメンタリー出身のシュテファン・ルツォヴィツキーだからできた業であり、ヒットラーの大戦功罪、その裏側を解き明かす意味において、本作がなす意義は大きいと思う。

さらにオスカーを獲ったのも、かなり親ユダヤ・反ナチス映画であることも影響しているのかなと、とにかく歴史の勉強にもなる、興味深い一本だった。

kojiroh

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