『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年、アメリカ)―65点。プロバガンダ的 0時30分作戦

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『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年、アメリカ)―158min
監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ボール
出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガートン etc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆/ 6.5点
※リアルタイム映画評

アカデミー賞5部門ノミネート。ラディン氏暗殺の裏側、実話をベースにした話題作。ジェシカ・チャステイン の主演が鬼気迫る演技と評判で、傑作「ハートロッカー」のキャスリン・ヒグロー監督だと期待して新宿ミラノ座の映画館にて鑑賞。

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◎あらすじ
9・11テロ後、CIAは巨額の予算をつぎ込みビンラディンを追うが、何の手がかりも得られずにいた。そんな中、CIAのパキスタン支局に若く優秀な女性分析官のマヤが派遣される。マヤはやがて、ビンラディンに繋がると思われるアブ・アフメドという男の存在をつかむが……<映画.COM>

しかし所感、ちょっと期待はずれ。てか長すぎ。
戦争アクション映画というか、もはやCIAの諜報室での出来事を描いた人間ドラマのような内容で、意外と動きがなく退屈してしまった。
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うーん、この内容なら、2時間ちょっとで十分だろと。

パキスタンから始まるジェシカのストイックな諜報員としての飛躍と変容っぷりは必見であったが、どうも「ハートロッカー」に比べるとまとまりなくグダグダ。冒頭の30分ぐらいが一番よかったが、段々ぐだぐだになる。盛り上がる前兆は感じたのだが・・・後半はちょっと冗長すぎる。長官とか偉い人とか無駄に登場しすぎ、最後もあまりに虚無的なほどあっさりしすぎ。

まとめると、なんとも余韻が残らない映画であった。

今年度のアカデミー賞で競った「アルゴ」とも被る、中東とCIAという題材であるが、両者とも気味が悪いほどCIAを正義の悲劇の主人公として描いていおり、政治的な米国礼賛の流れを感じ、違和感大。もっと裏の裏まで描いているのかと思いきや、少し普通すぎた。正当な流れすぎた。

よく言われるが、本作も、そして「ハートロッカー」も、「アルゴ」も、すべてCIAのプロバガンダ的な映画である。敵対している中東を悪魔のように描き、悲劇の主人公が戦争や暗殺を正当化し、正義にする、という。ただわたしは別にそれが悪いとも思っておらず、洗脳映画であろうと2時間楽しめればそれでいい。「ハートロッカー」にはドキュメントとエンタメ要素があったが、本作「ゼロダークサーティー」はあまりに淡々とし過ぎている。
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さらに「アルゴ」のようなテンポのよさやスピード感はなく、娯楽性にも乏しく、なんとも軍事マニアが喜びそうな、泥臭い中東のCIA諜報員の活動を長期に渡ってドキュメントした内容で、エンタメ性はなく、一般受けはしないだろう。(それでもラディン暗殺という話題性はアルゴ以上かもしれない)

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とは言っても、唐突に危機が迫る自爆テロシーンの迫力など、絶望感と緊張感が絶えず、何が起こるかわからないドキドキ感はあった。全編を通じた緊張感や、米国VSアルカイダのパキスタン・ドキュメントとしてはまあまあ秀作であるとは思います。ジェシカの演技を楽しむだけでも価値はある。

特に、女性監督が描いているとは思えない重厚さ。男社会で使命を全うする、このジェシカ演じるマヤの姿は、まさに孤高のヒグロー監督そのものなのではないかとも思える。最後の涙の意味とは・・・。

とまあ、良い部分もあったわけだが、残念ながら、私としてはわざわざ劇場で見る価値はなかったと言わざるを得ない。特に上映時間長すぎて途中トイレに行きたくてしょうがなくなっが我慢して席を立たずに画面に食い入ったが、そこまでして観る価値のない期待はずれな一作になってしまった。

kojiroh

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