『愛、アムール』(2012年、オーストリア=仏=独)―70点。シルバー向け欧州的芸術映画

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『愛、アムール』(2012年、オーストリア=フランス=ドイツ)―126min
監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リバ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点
*リアルタイム映画評

映画が1000円の1日に、筆者はカンヌを二連覇した『愛アムール』を見ることにした。「ピアニスト」「白いリボン」の名匠ミヒャエル・ハネケ監督。初めて見る監督なので前知識なしで挑むことにした。

カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞だけでなく米国のアカデミー賞でも絶賛されたアムールとは一体どんな作品なのか・・・。
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あらすじ
パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送る音楽家の夫婦、ジョルジュとアンヌ。ところがある朝、アンヌが突然の発作に見舞われ、夫婦の穏やかな日々は終わりを迎える。検査の結果、病気が発覚したアンヌは手術の失敗で半身に麻痺が残る事態に。“二度と病院には戻りたくない”とのアンヌの願いを聞き入れ、ジョルジュは自宅での介護を決意する。自らも老いた身でありながら、これまで通りの生活を貫こうとする妻を献身的に支えていくジョルジュだったが…。

<allcinemaより引用>

極めてシンプルなストーリーである。この内容で2時間以上引っ張る必要があったのかと疑問に思うほど……。なんというか、高齢者向きのシルバー映画という所感。室内劇で動きがなく、淡々としていて若者にはつらい――。

だがしかし、高齢者、障害者、そうした老いと病気に苦しむ姿を極限まで詩的に、かつ残酷に描いている。
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小話と食事のシーン。寡黙な沈黙と表情、そして言葉を交えて昔話を繰り広げたり、ともかく最小限の舞台で、観客の想像力を駆り立てる傑作であることは間違いなく、随所で心の琴線を揺さぶる場面が多々あった。

イザベル・ユペールの悲劇への叫びもなんだか痛々しい。
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特に印象的だったのは、かつての弟子であるアレクサンドルが訪問する場面。シーンの切り替えが少なく、椅子に座りながら婦人を待ち、感情を抑えながら言葉を選んで婦人の悲報を慰めるような。そしてシューベルトを奏でる。特に工夫がある場面でもないが、絶妙な間と、あと、とにかくシーンで語る。

見方によっては寡黙で退屈な部分も多いが、紛れもなく傑作だといわざるを得ない。窓から入るハトなど、小道具を色々とつながってゆく。

個人的には、「あまりにも無能だった……」と介護師を追い払い、780ユーロを渡すシーンが妙に印象に残っている。老いの残酷さだけでなく、人間社会の残酷さが浮かび上がってくるようで、さらには若年層雇用とも繋がっている気もした。

監督の才気を持って丁寧に描いた「老い」と「死」、そして「愛=アムール」。
80過ぎた二人の演技のパワーには驚かされた。
タルコフスキー的と言うか、イングマール・ベルイマンの『野いちご』的でもあり、傑作だが、観るのに体力が必要。とても一般受けするとは考えにくい。そんな本作がここまで高評価されているのは、単に映画界の審査員とか、中年以上の人にはずっしり響く一作だからなのかもしれない。

あと相対的にハネケ以外の作品のレベルが低く、それによってカンヌ2連覇となったのではないかと筆者は結論。

kojiroh

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