『デスプルーフ』(2007年、アメリカ)―85点。挑戦的なスラッシャー・カーアクション傑作


『デスプルーフ』(2007年、アメリカ)―113min
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:クエンティン・タランティーノ
製作:クエンティン・タランティーノ、ロバート・ロドリゲス、エリザベス・アヴェラン、エリカ・スタインバーグ
出演:カート・ラッセル、ヴァネッサ・フェルリト、ゾーイ・ベル etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

2007年、タランティーノとロドリゲス・・・B旧映画マニアの鬼才2人が手がけた企画『グラインドハウス』。そのタランティーノ版が、異色のカーアクション『Death proof』。

筆者は当時、劇場でその2本を両方とも鑑賞し、興奮した世代だ。最近また『ジャンゴ』見た影響で再鑑賞したくなり、ビデオで見直したのでレビューを書くことにする。
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◎あらすじ
テキサス州オーステインの人気DJ、ジャングル・ジュリアは気の置けない仲間たちとバーへ繰り出し、女の子だけの会話に花を咲かせていた。そんな彼女たちを、ドクロマークの不気味な車を駆る顔に傷のある謎の中年男、スタントマン・マイクが秘かにつけ回していた…。14ヵ月後、テネシー州で映画の撮影に参加していたスタントウーマンのゾーイ。彼女は空き時間を利用して、仲間たちとある計画を実行する。それは、売りに出されていた憧れの車、映画「バニシング・ポイント」に登場した70年代型ダッジ・チャレンジャーに試乗しスタントライドを楽しむこと。さっそくボンネットに乗り、危険なスタントを始めるゾーイ。やがてそんな彼女たちを、あの男スタントマン・マイクが、新たな獲物に見定め襲いかかるのだったが…。
<allcinemaより引用>

とにかくタランティーノの趣味映画である。
意味のない「女子トーク」がありえないぐらい長い。
足フェチな映像も多すぎ。
だがそれでいて、非常に見所が多く、映画としても革新的で、挑戦的な傑作であろう。

なんと言っても前半のノイズと古臭いカラー映像。70年代のミッドナイトムービーを意図的に再現した映像が逆に新鮮であった。古臭いが携帯使っていたり。そして後半でも白黒映像から、普通の現代的な映像に切り替わり、2種類のムードを楽しめる。
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カート・ラッセルの「スタントマン・マイク」というキャラクターは、これまで監督が生み出してきた、「イングロリアス~」のハンス・ランダであったり、「ジャンゴ~」のDr.シュルツ以上に変態的で強烈な味を出している。タランティーノ史上、最も変態な主演だが、キャラの暴走っぷりがなんだか愛せる。

特にタランティーノが演じるマスターがいるバーで、ナチョスをほうばるシーンの、生々しい食べ方が変態な印象であるが、非常に美味しそうで、彼のキャラクターを象徴しているように思った。

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『プラネットテラー』のヒロイン・・・ローズ・マッゴーワンの快演というか、特殊メイクなちょい役もなかなか味がある。最初は本人だとは気付かないようなカメオ出演が多いのも笑いどころ。

後半の体を張ったスタントシーンによるカーアクションは劇場で見て興奮したのを覚えている。CGを使わず、力の入った映画だ。チアガールの メアリー・エリザベス・ウィンステッドも可愛い・・・が結末が笑える、てかどうなったのか。
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脇役まで愛せるキャラなのがタランティーノ映画も面白さのひとつ。

クレイジーな監督が、彼の過去の思い出であるミッドナイト映画からインスピレーションを得て作り上げた、怪作であり、挑戦心に満ちた稀な傑作だ。カーアクションとしても、見ていてドキドキハラハラが味わえる、スピルバーグの『激突』を超えた一作かもしれない。

何と言っても、最後に鳴り響く可愛いチック・ハビットの音楽によるエンディングが最高だ。

kojiroh

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