『ゼログラビティ』(2013年、アメリカ)―91min
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン、ホナス・キュアロン
出演者:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー etc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点
※リアルタイム映画評
ベネチア映画祭でもオープニングで上映され、今年度のオスカーも期待されている。世界中でも、日本のネット上でも革命的、画期的と話題の映画、『ゼログラビティ』
「トゥモロー・ワールド」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が、宇宙空間を最新VFXと3D技術を駆使して描く。
タランティーノ監督も今年のベスト作品10個に選出しており、かつネット上でも新時代の幕開けだ、革命的な新しいエンターテイメントだと話題だったので、つられて筆者も映画館へ足を運んで干渉した。
●あらすじ
スペースシャトルのメディカル・エンジニア、ストーン博士とベテラン宇宙飛行士のマットは、船外作業をしていたところで予想外の事故に遭い、宇宙空間に放り出されてしまう。空気も残りわずかで地球との交信手段も断たれ、たった1本のロープでつながっているだけの2人は、絶望的な状況の中から生還を目指すが……。ストーン博士役にサンドラ・ブロック、マット役にジョージ・クルーニー。撮影は「トゥモロー・ワールド」ほかキュアロン作品を多数担当する名匠エマニュエル・ルベツキ。脚本はキュアロン監督と、監督の息子ホナス・キュアロンによる。
<映画.comより>
所感、なーるほど、この手があったのか!っていう、無重力状態における2人の脱出劇を描いた、手に汗握る脱出サスペンスかつ、人間ドラマでもある。
100億円近い予算をかけているだけあって、細部のディティールがすごい。
宇宙空間に投げ出される涙の立体的なこと、いや、本当に宇宙にいるような気分になれる、ある種、アトラクションとしての映画にもなり得ている力作であろう。
「2001年宇宙の旅」を思い出した。
あの無音、無重力、そして宇宙。映画館の暗闇の中、大迫力のスクリーンで見るからこそ、宇宙の存在を感じられる、そんな一作。
ほぼ登場人物2人のツーマンショーだが、脱出アクションサスペンスとしてもよくできている。
「127時間」の宇宙版のような緊張感。
手に汗握る。はらはらどきどき。
宇宙の恐怖が観客にも伝わってくるほど。
サンドラブロックの表情のアップも、「ブレアウィッチ~」を彷彿されるような恐怖のアップだ。ジョージクルーニーの語りもいい感じで、下手すると彼の出演作で最高の演技かもしれない。
回想や妄想シーンはほとんどなく、ガチでこの2人しか出演者がいないのも、このレベルの規模の映画にしては驚くべきことであろう。
さらに宇宙ステーションのロシア、中国の衛生などの国際関係も感じさせるディティールには、こだわりを感じる。ロシアがこんなに悪者な感じで、ややネタバレだが最後の中国式のボタン選択のところなんかはシニカルなようで現実問題、技術進歩して覇権を握りつつある中国の、アメリカとの関係性をも感じる。
さらにげなく宇宙ステーションの保険の話にも触れていたあたりとかも現実の皮肉っぽい。・・・まあこんな事故は現実的にありえなそうな、あまりにも安易なストーリーとも言える。
ただ本作は、天才キューブリックが作った金字塔『2001年宇宙の旅』、天才ダニーボイルが作ったワンマンショーによる脱出映画『127時間』のどちらとも超えてはいないだろう。
まあもちろん、前評判の期待に応えるには十分の傑作ではあったが、同ジャンルの過去の名作と比較すると、それを超えたとはとても言えない程度の作品かなと・・・面白かったですけどね。
映画館で見たからこそ高く評価できる一作です。
自宅で見てたら多分、70点ぐらいかな。
kojiroh