『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』(2009年、アメリカ)―65点。ムーア流・金融危機ドキュメンタリー


『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』(2009年、アメリカ)―120min
監督:マイケル・ムーア
脚本:マイケル・ムーア
製作:マイケル・ムーア、アン・ムーア
製作総指揮キャスリーン・グリン、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
音楽 ジェフ・ギブス


【点数】 ★★★★★★☆☆☆/ 6.5点

Capitalism A Love Story
「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、デビュー作の「ロジャー&ミー」以来20年ぶりに経済問題をテーマに描くドキュメンタリー。

Huluで発見して鑑賞した。なかなかユニークな金融危機ドキュメンタリーをムーア節・センス満載に見せてくれる。2014-01-07_180054

◎あらすじ
2008年9月、信用リスクの高い住宅ローンである“サブプライムローン”問題が顕在化し、世界有数の証券会社リーマン・ブラザーズが破綻、これを契機に金融危機が巻き起こり、世界は空前の大不況に陥った。アメリカの一般庶民の中には、一夜にして職も自宅も失い路頭に迷う人々が続出する。対照的に、そのサブプライムローンで暴利を得てきた巨大金融機関には、救済を目的に国民の血税が大量に投入される皮肉な事態が巻き起こる。どうして、アメリカの資本主義(キャピタリズム)は、こんな不条理なことになってしまったのか。その答えを求めて、ニューヨークのウォール街へと乗り込んでいくマイケル・ムーア監督だったが…。<Allcinemaより>

キリストの時代からルーズベルトの時代まで遡り、現代の詐欺同然の金融商品がはびこっているアメリカの狂った部分をコミカルかつわかりやすく解明してゆこうとする試みが本作だ。2014-01-07_181045

差し押さえの話から始まり、人情味がなく拝金主義で庶民から詐欺のように金を強奪している銀行、その銀行に対して金融緩和を進めてさらに銀行を設けさせている実態を、政治関係者のインタビューや、銀行との癒着の実態を解明してゆく。

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「デリバティブ」とは何か?要するに複雑な賭けの仕組み。銀行は、金融緩和は市場を目に見えないカジノにした。非常にわかりやすく、デリバティブが何かを語ってくれる。

今でさえ、リーマンショックから5年ほど経つからこそ、その金融危機の仕組みはよく言われているが、この当時で見たらきっと興味深い内容だったと思う。『インサイドジョブ』と同様、その手のドキュメンタリーとしては一見の価値ありといったところだろうか。2014-01-07_181115

そして「ぼくらの税金を返せ!」「市民逮捕する」と糾弾しにウォールストリートへ出向き、トラックに乗り込み突撃するマイケルムーアの姿は本気で笑いを誘う。すごくシュール。シッコでも同様、あの巨体で動き回るムーア監督の勇士は相変わらず見もの。

とにかく音楽のセンスから、歴史的映像やキリストの引用、差し押さえ現場の実態などをフィルムに焼き付けて2時間にも渡り1つの拝金主義のラブストーリーを焼き付けたことに本作の意義があるだろう。

だが、現在はすでに金融緩和も終わりを迎えて再びアメリカの経済が復活しそうな兆しを受けて株式バブルがおきつつある昨今なので、ここで言った内容が今後どのように再評価されるのかは、もうすこし経たないと分からないことかもしれない。

資本主義、社会主義、こうした大きいテーマはムーア監督がやるには少し重すぎたかもしれない。シッコとかボーリングコロンバインのような、スケールの問題を扱うのがやはりムーア監督の技量が最も活きるかなと。

しかしムーア監督はあれだけパワフルに動いているのに、なんであんなに太っているのか?彼自身も映画で私腹を肥やしている拝金主義者なのでは?・・・そんな下らないことをついつい考えてしまう。

kojiroh

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