『アリラン』(2011年、韓国)―75点。天才監督の究極の自問自答自作自演ドキュメンタリードラマ

   
『アリラン』(2011年、韓国)―91min
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
出演:キム・ギドク
【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

映画が取れなくなった、韓国映画の鬼才、キム・ギドク。
山奥に篭って一人作った究極の自問自答ドキュメンタリー『アリラン』。
カンヌ映画祭で「ある視点」部門を受賞した異色の話題作・・・ギドクの復活を告げる傑作とのことで、ようやくレンタルされ始めたので鑑賞した。

○あらすじ
ほぼ1年に1本のペースで新作を撮り続けていた韓国の鬼才キム・ギドクが、「悲夢」(2008)以来、映画界から遠ざかり、山中の一軒家で隠遁生活を送っていた自らの姿を捉えたセルフドキュメンタリー。カンヌ、ベルリン、ベネチアの世界3大映画祭でそれぞれ受賞を成し遂げたギドク監督が、国内での低い評価とのギャップや、仲間から受けた裏切りについてなど、内に秘めていた心情を吐露。「自らに疑問を投げかける自分」「それに答える自分」「それらを客観的に分析する自分」と3人の自分を演じながら心の内をさらけ出していく。

<映画.comより引用>

「レディ、アクション!」
すべてはここから始まり、ここから終わる。
究極の自問自答ドキュメンタリー。2014-01-15_193704

いや、ドキュメンタリーでもあり映画だ。キムギドクの天才っぷりが最も現れているのが本作かもしれない。
「本作はドキュメンタリーでもあり、ドラマでもあり、ファンタジーでもある」
POV的なのだが、それ以上に本物のドキュメンタリーの要素も含む。
完全な独白、第二・第三の自分がインタビュー質問を投げかける。
映画とは?国家とは?なぜ作るのをやめた?お前は一体、何をしたいのだ?
芸術系の映画監督という職業の孤独が伝わってくる。インタビューだけでもかなり魅力的で、貪欲な食欲でキムチとご飯とラーメンをかき込むように食べるギドク監督の姿も非常にユニーク。彼の生活と、命が吹き込まれている。2014-01-15_194020

それにしても、まさか自問自答を映画にするとは。
ある意味、ブレアウィッチプロジェクト以上の衝撃だ。
低予算で、自分でも作れるかもしれない・・・そう思わせるほどカラクリは単純であるが、随所に見られるギドク流のアイディアがすごいのだ。髪型を変えた自分自身、そして影。なるほど、この手があったのか!本当にギドク1人だが、2重3重の人格で、とても一人の人間しか登場していないと思えない。

2014-01-15_193743天才と呼ばれる映画監督・・・彼らは例外なくアイディアマンだ。
こんな映像遊びの手があったのかと驚かされる。

ある意味、本作はドキュメンタリードラマの革命かもしれない。
1人で山小屋に篭って、映画が撮れないことを映画にした3年間。
ブレア・ウィッチプロジェクト以上に低予算で、それでいて映画として完成されていて、芸術的なのだ。2014-01-15_193832

山小屋での自問自答の生活、仲間の裏切り、怒りを爆発させるように酒を煽って暴飲暴食、「アリラン」を歌い恨みぶし、人生の悟り、そして・・・ なんというか『タクシードライバー』の自問自答をも思い出すほど、普遍的な孤独がある。

自分もこういうアイディア映画を作ってみようかと創作意欲を刺激された一作だった。

kojiroh

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