『おくりびと』(2008年、日本)―80点。死というより衰退する先進国の職業選択を問う秀作


『おくりびと』(2008年、日本)―130min
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
出演者:本木雅弘、広末涼子、山崎努、峰岸徹、余貴美子、吉行和子、笹野高史 etc

【点数】 ★★★★★★★/ 8.0点

滝田洋二郎が監督を務め、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞など数々の賞を受賞、第81回アカデミー賞外国語映画賞という史上初の快挙を成し遂げた1作。

そういえば話題になっていたが見そびれていたのだが、ANAの機内であったので鑑賞してみると想像以上に引き込まれて面白く、もっと早く見ておけばよかったなと思った。

●あらすじ
 チェロ奏者の大悟は、所属していた楽団の突然の解散を機にチェロで食べていく道を諦め、妻を伴い、故郷の山形へ帰ることに。さっそく職探しを始めた大悟は、“旅のお手伝い”という求人広告を見て面接へと向かう。しかし旅行代理店だと思ったその会社の仕事は、“旅立ち”をお手伝いする“納棺師”というものだった。社長の佐々木に半ば強引に採用されてしまった大悟。世間の目も気になり、妻にも言い出せないまま、納棺師の見習いとして働き始める大悟だったが…。
<allcinema>

はい、もう文句なしに近年まれにみる邦画の傑作でしょう。

ぶっちゃけそこまでこの手の人間ドラマは趣味ではないですが、引き込まれました。内容的にも現代的で面白いです。心理描写とか、都会から田舎へ引っ込んでゆき、隙間産業にいざなわれていくその描写は、失われた10年のならではの描写だと思った。

死というより衰退する先進国の中で、どういう職業で生きてゆくか。
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もっくんの優しくて誠実で、ひたむきな演技はなかなか秀逸だった。広末もそうだが、主演から助演まで、近年稀に見るいい芝居をしているなと思った。

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ウェブ屋さんから田舎暮らし。田舎の水で炊く米が美味しいという食卓シーンがなんか個人的にツボだった。

名優・山崎勉の渋くてちょっとユーモラスのある社長役がハマり役だった。

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隙間さん産業に生きる変人社長ってこんな人本当にいるよなと、この怪演は貫禄だったなと思う。台詞まわしも何もかもウィットに富んでいる。

クリスマス祝いでチキンをほおばるシーンとか、もらい物の何かをくちゃくちゃ車の中で食べるシーンとか、生きること・食べること・死ぬこと=死ぬことを処理する人がいることを、皮肉にブラックユーモアを交えて肯定している点が非常に面白かった。

本作の最も秀逸なテーマは「死」ではなく、汚い隙間産業でいきてゆく人々の苦悩と葛藤だと思う。つまりやりたいことと天職はつながらない、ますますつながり難くなっている時代の職業選択の問題である。

今後、何週間も放置されてしに行く高齢者が急増することが予想される日本で、こういう生き方・働き方がすごく現実的であり、リアルだ。

それはすべての先進国に共通して言えることだろう。だからこそ、本作は日本のみならず海外でも評価されたのだと思う。

日本のみならず、先進国の人々、特に職に困っている若者にとっては一見の価値がある一作だと思った。

kojiroh

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