『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年、アメリカ)―113min
監督:ダグ・リーマン
脚本:ダンテ・W・ハーパー、ジョビー・ハロルド、スティーヴ・クローヴス、クリストファー・マッカリー、ティム・クリング、ジェズ・バターワース、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
原作:桜坂洋『All You Need Is Kill』
出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソンetc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点
ALL U NEED IS KILL
この夏、ゴジラに並ぶくそ映画として期待の一作、日本の桜坂洋のライトノベルをトム・クルーズ主演で映画化したという異色のSFバトル・アクション大作。共演はエミリー・ブラント、ビル・パクストン。監督は「ボーン・アイデンティティー」「フェア・ゲーム」のダグ・ライマン。
こりゃクソ映画人としては見逃せなそうだなと思って映画館へ行ったのだが、前評判もいいことと、満席であったため劇場では見逃してしまった。
しかし先日、運よく乗車してJALの飛行機の機内で発見して、鑑賞した。
●あらすじ
謎の侵略者“ギタイ”の攻撃によって、人類は滅亡寸前にまで追い込まれていた。そんな中、軍の広報担当だったケイジ少佐は、ある時司令官の怒りを買い、一兵卒として最前線へと送られてしまう。しかし戦闘スキルゼロの彼は強大な敵を前にあっけなく命を落とす。ところが次の瞬間、彼は出撃前日へと戻り目を覚ます。そして再び出撃しては戦死する同じ一日を何度も繰り返す。そんな過酷なループの中で徐々に戦闘力が磨かれていくケイジ。やがて彼はカリスマ的女戦士リタと巡り会う。彼のループ能力がギタイを倒す鍵になると確信したリタによって、最強の“兵器”となるべく容赦ない特訓を繰り返し課されるケイジだったが…。
<allcinema>
はい、予想外でした。
機内で爆睡しようと思ってたのですが、面白くて一気に見てしまい、目が覚めるできばえでした。
前知識0のような状態で見たので、本作のテロップはかなり新鮮でした。
脚本というか原作がいいんじゃでしょうか。ベタな展開で繰り出させるひ弱な軍人が覚醒してゆく姿はかなり面白かったです。
それもかなりゲーム的で、本作は映画をゲーム的に「リセット」と「リトライ」を再現することに成功しているなと。ネタバレっぽいからあまりいいませんが、ゲーム要素を含んだ映画は多いですが、本作はまるで自分がゲームをやっているような感覚になれる、最も優れた映画かもしれません。
本作のべたべたなエイリアン侵攻のテロップやオチなんかも、パシフィックリムや、宇宙戦争、LA決戦などなど、似たようなパターンで世界を救うという話なんですが、何度も何度も次元を繰り返してゲームのようにエイリアンとの決戦を切り抜いてゆくのはくそ映画を超えて、個人的には斬新な映像体験でした。
トムクルーズは本当にくそ映画に似合う俳優です。
エイリアンの造詣から、この戦闘服とバトルシーンの迫力、そして繰り返されるシーンのビル・パクストン演じる総長などの脇役、全部が笑わせてくれます。脇役も凝っているなと。
ゲームを繰り返すようにあの手この手で攻略してゆくその姿は滑稽で、かつアイディア満載で楽しめました。
しかし、ゴジラにしてもそうだけれども、日本発祥のモトネタから、『パシフィックリム』、『ゴジラ』、『オールユーニードイズキル』。和製の奇抜なアイディアやカルチャーをハリウッド式の大スペクタクルで再現した映画が非常にクオリティ高くて面白くて世界的なヒットを飛ばすものが多くなっているなと思う。
もちろん、日本はアニメでぐらいしかせいぜい再現できないのだが、実写化して大スペクタクルに仕上げることのできるアメリカの手法は、くそ映画人としては見逃せない超大作な作品を仕上げてくれるので、素晴らしいなと思う昨今です。
Kojiroh