『凶悪』(2013年、日)―128min
監督:白石和彌
脚本:高橋泉、白石和彌
原作:新潮45編集部編『凶悪 -ある死刑囚の告発-』
出演:山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点
評判がいいここ1~2年の邦画として、「凶悪」があったので、レンタル屋で目に付いて借りてみた。
新潮45編集部の取材記録を綴った『凶悪 ある死刑囚の告発』を基に描くクライム・サスペンス。主演は「鴨川ホルモー」の山田孝之。共演にピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴。
監督は「ロストパラダイス・イン・トーキョー」の白石和彌。
◎あらすじ
ある日、スクープ雑誌『明潮24』に死刑囚の須藤純次から手紙が届く。それは、判決を受けた事件の他に、彼が関わった誰も知らない3つの殺人事件について告白するものだった。須藤曰く、彼が“先生”と呼ぶ首謀者の男が娑婆でのうのうと生きていることが許せず、雑誌で取り上げて追い詰めてほしいというのだった。最初は半信半疑だった記者の藤井修一。しかし取材を進めていく中で、次第に須藤の告発は本物に違いないとの確信が深まっていく藤井だったが…。
<allcinema>
ずばり、出演者の迫真の凶悪な演技に思わず舌を巻いた。
リリーもいいけど、特にピエール瀧は一世一代レベルの名演じゃないですかね。
そして若松幸二の下で映画を学んだ、白石監督の才気もうかがわせる。
アウトレイジじゃないけど、みんな悪い。
山田孝之は、いわゆるグッドフェローズのレイリオッタのポジションだ。
凶悪事件を起こす主犯2人の生き様は本当にもう、異様なほど凶悪。『冷たい熱帯魚』のでんでん顔負け。
しかし、そんな凶悪事件を、高齢化社会の日本の問題と重ね合わせ、保険金殺人、高齢者の殺人、土地の転売などと結んでおり、凶悪ながらも共感性の高い一作となっており、文学的であさえある。普通に国際映画祭の出品も納得です。
それにしても昨今の邦画は、資金を賭けた映画はしょぼいものばかりで、スペクタクルのような映画は作れないので、演技人の迫力や、暴力やセックス、映画の演出力とか小回りを利かせたような、いわゆる「迫真の劇」のような映画ばかりだなと感じる。
園シオンなどの台頭などもあり、邦画の秀作はこの手のものばかりであり、良くも悪くもスケールは小さくなっていて、同じような顔ぶればかりにもなりがちで、この凶悪あたりで、いわゆる「凶悪映画」のピークを迎えるのかなと、余談ながら感じた。
kojiroh