『エリジウム』(2013年、アメリカ)―102min
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
出演:マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー、ヴァグネル・モーラ、アリシー・ブラガ・・・etc
【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点
『第九地区』で素晴らしいデビューをした、鬼才二ール・プロムカンプ監督による、1億1500万ドルの制作費をかけて、豪華キャストで映画化された一作。
絶賛する人とクソ映画だという人で分かれる作品、はたして筆者は・・・。
◎あらすじ
2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進む地球。その一方、一握りの富裕層だけは、400キロ上空に浮かぶスペース・コロニー“エリジウム”で何不自由ない暮らしを送っていた。そこには、どんな病気も一瞬で完治する特殊な医療ポッドがあり、美しく健康な人生を謳歌することが出来た。そんなエリジウムを頭上に臨みながら地上で暮らす男マックスは、ロボットの組み立て工場で過酷な労働に従事していた。ある時彼は、工場で事故に遭い、余命5日と宣告されてしまう。生き延びるためにはエリジウムで治療する以外に道はない。そこでマックスはレジスタンス組織と接触し、決死の覚悟でエリジウムへの潜入を図る。ところが、そんな彼の前に、一切の密入国を冷酷非情に取り締まる女防衛長官デラコートが立ちはだかる。
<allcinema>
百年以上後の未来。
世界全体がインドのようになったしまった近未来。
ロボットに管理される人間社会。
経費としてしか考えられない人命、富裕層に重要な株価・・・エンタメ映画であるが、第九地区に続き、メッセージ性感じて、個人的には楽しめました。
前作で主人公ビンスを演じたシャールト・コプリーが、今回は悪役へ・・・なかなかいい味だしてたなと。ブロムカンブ監督との名コンビっぷりを感じる。
こんな役どころでジョディーフォスターとか、豪華すぎて驚きました。ブロムカンプもすっかり巨匠っすね。
これだけ予算をかけた娯楽映画であるが、メッセージ性が強い部分を筆者は評価したい。
・誰しも1つの使命を持って生まれてくる
・万能医療が確立した富裕層エリアがある近未来=高額医療社会であるアメリカの格差社会の象徴
・超格差社会をインドのような底辺社会の人間が革命を起こす
つまり、SF映画という枠を当して、アフリカ出身のブロムカンプ監督は、痛烈な皮肉としてメッセージを発信している点が、個人的に評価過ぎべき、見るべき映画として考えることができる。
冒頭からお告げのようなささやきをする女性、インドのような社会で荒んでゆく主人公、非人道的な労働と犯罪、ロボットによって管理される中でも、追い込まれて最後の挑戦でエリジウムへ――こうしたフローはメッセージ性があり秀逸だなと。
ある種、人類への警告としての映画とも見れて、時代はこのマットデイモンのような救世主が必要なのかもしれない。
ただ、完成度や奇抜な発想などの面で、『第9地区』には及びませんが、見る価値ある一作だと思いました。
kojiroh