『卵 Yumurta 』(2007年、トルコ)―97min
監督:セミフ・カプランオール
脚本:セミフ・カプランオール、オルチュン・コクサル
出演:ネジャット・イシュレル、サーデット・イシル・アクソイ、ウフク・バイラクタル、トゥリン・オセン・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.5点
トルコの天才監督、セミフ・カプランオールのユスフ三部作の第一作。
第二部「ミルク」に初めてしまった筆者だが、それから見直した。
◎あらすじ
イスタンブールで暮らす詩人のユスフは、母親の訃報を受けて何年も帰っていなかった故郷に戻る。古びた家ではアイラという美しい少女が待っており、ユスフはアイラが5年にわたり母の面倒を見てくれていたことを知る。アイラから聞いた母の遺言を実行するためユスフは旅に出るが、それは自身のルーツをたどる旅でもあった。
<映画.comより>
個人的に、3部作の中で最も面白かったです。
(一番、台詞も多く分かりやすい映画だからかもしれない)
ストーリーラインが明確であり、れっきとしたロードムービー、自分のルーツをたどる旅としてつながっている。
車のシーンも、このショットなんかも絶妙なんですよねえ。
タバコ、チャイ、そして卵、すべてがつながっている。
ミルクの販売シーンであったり、バイクの2人乗りシーン。本当にすべてのシーンに明確に意味があり、後の2つの続編につながっている。
砂糖を入れてかき混ぜるチャイのシーンがなんとも言えずいい。
そして、自然美を活かした、叙情的なショットももちろん、なんといってもサーデット・イシルの美しさが際立つ。自然美と彼女の美しさがあってこそ。
長回しが多く、台詞も多いとはいえないが、話さなくても伝わる、このホテルのパーティーでのシーンなんかも、表情も絶妙で素晴らしいと思った。
井戸の中のユメなど、よく分からないシーンもあったが、この3部作では夢を霊的な存在としてとららえており、フラグになっている。
そして3部作すべてに言えるが、動物がすごく実は大きな役割をなしている。
羊の生贄にも意味があるが、
個人的な解釈では、最後の犬がキモ。
犬や猫は人間を守るために存在している、霊感が高い動物といわれるが、まさに最後の犬は、ユスフを正しい方向に導くために襲い掛かったのではないかと思えるほど、なんというか、ラストシーンへの架け橋としてつながっている。
ともかく、長回しも多く音楽もなく、退屈っちゃ退屈ではあるが、この映画の美しさにすごく引き込まれて、2回ぐらいみました。
ともかく、神的世界を描いた秀作です。
kojiroh